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中外日報宗教文化講座

多様な声の反映 組織の利害超え働く機能

2019年6月5日 11時04分

私たちの生活の行方は、国の役所の高級官僚たちの奮闘にかかっているところが多く、日本の経済は大きな企業の高い地位に就いている人たちの手腕にかかっているところが多い。その努力に大いに期待しないわけにはいかない。しかし、高い地位に就くと見えなくなることが多いことも確かだ。

その点では、代議士が地域社会から選ばれ、多様な支持者の声に耳を傾けなければならない立場にあるのは良いことだ。だが、政治家も次第に権益を振りまく側に回り、生活現場からの人々の声から遠ざかってしまうことがある。

省庁、大企業、政党、大宗教団体のような大組織や権力機構はそれ自体、個人の生活現場感覚に鈍感だと考える必要がある。昨今は企業のグローバル化が進み、巨大企業は、あたかも世界中の人々の生活をのみ込む怪物のように感じられる。サイズが大きくなり過ぎて柔軟性を失い、しばしば身動きが取れなくなる事態に対し、どのような対処が必要だろうか。

この点、宗教団体は興味深い事例を提供してくれるのではないだろうか。宗教組織が巨大化して末端の構成員を組織の意思に沿って動かそうとすると、なかなかうまくいかない。そこで、末端の構成員に近い人々の声を反映できるような組織構成を模索しているところが多い。信仰体系が基準で、それに従うことが前提にあり、一応組織決定による統制は効く。だが、無理やりそれを押し通そうとすると、多くの構成員が離れていってしまうことになる。

ここで重要なのは「下からの」集団形成や情報の発信と、それをくみ上げるシステムである。宗教集団だけではなく、役所や政党や企業もそのようなシステムを育成し、謙虚に耳を傾ける必要がある。メディアや人文社会系の学術は、そのようなシステムの重要な構成要素であるはずだが、それ自身、権威を振り回す集団と見なされがちだ。現今では、そうしたシステムがうまく働いておらず、「社会上層部」に対する怨念がたまりやすい。SNSがそれに拍車を掛けているところもある。

現在、世界中でポピュリズムが注目されている。大組織が構成する社会への失望、絶望の表れと見ることもできるだろう。代議制や権力分立としての民主主義政治体制だけでは足りない。経済効率ばかりでなく、民意が適切に発信され政策に反映される仕組みの形成に骨を折るべき時代である。

宗教組織はこの点で良い事例を提供できる可能性がある。組織の利害を超えて働く公共宗教としての機能を充実させたいところだ。

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