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SNSの闇 議論し、見識の蓄積を

2019年6月12日 13時07分

5月中旬、マレーシアの16歳の少女が自殺した。少女は自殺する前にインスタグラムの自分のアカウントを使って一つのアンケートを試みていた。自分が死(D)を選ぶか、生(L)を選ぶかについて助けてほしいと投稿していた。

このアカウントを閲覧した人の69%がDを選んだ。その後少女は飛び降り自殺を図ったという。ところが自殺が報じられてから、インスタグラムの運営会社が少女のアカウントを調べたところ、88%がLを選択していたことが分かった。自殺を知って回答を変更したケースがあったとみている。

Dが多かったので少女が自殺を決意したのかどうかまでは分からない。しかし、こうした生死に関わる問題でも、SNSでの回答は極めて軽く、無責任である。それを認識しなくてはならない。

仮に目の前で飛び降り自殺をしようとしている人に出くわしたときならどうか。その人が「私が飛び降りるべきかどうか、あなたの意見を聞かせて」と言った場合、「どうぞ飛び降りてください」と言う人はほとんどいないだろう。

これに対しSNSは顔が見えない。臨場感が乏しい。相手がどの程度真剣なのかも分かりにくい。軽い気持ちになるのは避け難い。相手の生死に関わるかもしれない問い掛けにさえ、軽い気持ちで応答したものと推測される。

実はこのような例は珍しくない。当人にとって極めて深刻な問題も、それをSNSで公開した途端、面白がられたり、からかわれたりすることがある。自分の不幸な境遇への理解や共感を求めたつもりが、炎上ネタになってしまう。SNSの性格上、恐らく歯止めはあまりない。そのようなものだと予め心構えを持つしかない。

1990年代後半からインターネットが急速に普及する中、宗教界は全体として、この新しいツールへの対応が遅れがちだった。対面状況における活動が基本となる宗教にとって、そうした傾向は無理からぬところがある。ただここまでSNSが一般化してくると、それがもたらす利点の話だけでなく、負の面についても、真剣に議論すべき段階になっている。

布教や教化で、インターネットそしてSNSを取り込んでいる団体や宗教家の例は増えた。それは各宗教が独自の方針と工夫によって行えばいいことである。一方、SNSの負の面については、宗教界が具体的事例を出し合いながら意見を交換することのメリットが大きい。そのようにして蓄積されていく見識に基づいて対処法を構築していけば、宗教界にとっての共有財産になり得るだろう。

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