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第16回「涙骨賞」を募集 中外日報宗教文化講座

脱現金化の陥穽 利便性だけで判断は危険

2019年6月26日 13時22分

1995年の宗教法人法改正で宗教法人備え付け書類の利害関係人閲覧権と、所轄庁提出義務が規定された。提出書類は不活動法人問題と結び付けて語られるが、2005年に、鳥取県が第三者の開示請求を県条例に基づいて認め、大きな問題になったことがある。

宗教法人提出書類の「非公知の事実」は開示しないというのが情報公開法に関わる文化庁の基準。取材で所轄庁に担当の宗教法人について問い合わせても、明らかにされるのは法務局の登記事項だけだ。代表役員は登記事項だが、例えば責任役員名などは非公知の個人情報なので開示されない。信教の自由に基づく配慮である。

ところが、鳥取県は同文書の管理を自治事務と判断。県条例を優先し、「非公知の事実」も含め、某寺院に関する情報開示請求を認めた。当該寺院は責任役員名簿その他の開示取り消しを求め提訴。地裁、高裁とも県の開示決定の一部を取り消し、07年に最高裁も県の上告を棄却し確定した。

宗教法人にとっても個人情報の取り扱いは慎重を要する問題。各宗派は「特定個人情報等の適正な取扱いに関する基本方針」(曹洞宗)などを定めている。しかし、キャッシュレス時代に入り、こうした配慮が及ばない所から個人情報流出の可能性も出てきた。

拝観料やお賽銭も電子マネーなどで――というニュースは数年前から本紙を含めメディアで取り上げられるようになってきたが、政府のキャッシュレス取引比率拡大方針のもと、その流れに乗る宗教法人が増える可能性が大きい。

確かに使い慣れたカードで拝観料を払えれば便利、というのは利用者の感覚であろうし、そのニーズに応える発想も分からなくはない。だが、布施・賽銭などをカードで処理した履歴のデータは個人の宗教行為に関わるものであり、それが第三者に利用されると、信教の自由という問題の領域に関わってくる可能性がある。

日本の社会では「信教の自由」は市民の日常的な生活実感とは結び付きにくい。賽銭や拝観料で何が信教の自由だ、という感覚は一般的だろう。だが、寺社も個人情報の扱いに慎重になる一方で、キャッシュレス決済の導入によって「非公知」の宗教的行動に関する情報の流出、第三者によるその利用に手を貸す危険性があることは否定できない。

布施にカード決済のような商取引の関与が深まることで、宗教行為への課税に道を開くという恐れもある。寺社のキャッシュレス導入の範囲は一時立ち止まってじっくり考えてみるべき問題だろう。

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