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無住・兼務寺問題 過疎地寺院の再構築へ

2019年6月28日 11時17分

伝統仏教の諸教団で、無住・兼務が多い過疎地の寺院対策に本腰を入れて取り組む機運が高まってきた。本紙2018年5月16日付1面は「『座して死』は避けたい」という刺激的な見出しを掲げ、曹洞宗議会での過疎対策に関する議論を紹介している。最近の記事でも、「今後想定される寺院減少が宗費や宗団運営に影響(天台宗)」「天台宗無兼住寺院対策小委が宗教法人解散時の助成制度創設へ動く」などが見当たる。

無住・兼務の過疎地寺院問題を、伝統仏教が長らく無視してきたわけではない。しかし、限界集落や「寺院消滅」が流行語になり、檀信徒の離郷や墓じまいが寺院の護持基盤を深刻に脅かす状況に危機感を深めた各教団は、効果的な具体策を模索し始めた。

無住・兼務対策に積極的な教団の一つに臨済宗妙心寺派がある。07年には同派寺院の28%に当たる948カ寺の兼務・無住寺院を悉皆調査し、各寺院の伽藍、境内地、墓地、檀信徒や役員、法務の内容、年収、後継正住職就任の予定などをまとめて、翌年、同派の無住寺院対策委員会に報告している。調査対象の7割が年収100万円以下で、3割が無檀家という結果は、ある程度予測されていたとはいえ明確な数字で示されるとショックを与えた。

前記委員会で比較的早くから議論を重ねてきたため、この時点ですでに66カ寺が合併吸収を予定していた。その後、同派の春・秋の宗議会では毎回のように被包括宗教法人の合併や解散の報告が行われてきた。09年に同派宗務総長となった松井宗益氏は就任に際し「安易な合併・解散は考えない」と述べた。一方で、「明日の宗門を考える会」を立ち上げ、兼務寺院対策を検討課題に掲げた。兼務寺院を単なるネガティブな処理案件ではなく、宗門の未来像に直接結び付けて検討する姿勢だ。

「安易な合併・解散は考えない」は全ての宗門指導者が共有する思いだろう。行政側が強調する宗教法人格の悪用防止という「大義」は、被包括関係を持つ過疎地寺院でどれほどの実例があるか疑わしく、解散は手間も費用もかかる。「廃寺」の2文字を連想し、先師の事績を否定するように響く。

とはいえ、財産も信者もいない寺が法人格を持つ意味はない。不活動状態の被包括法人の実態が、法人売買と結び付けて論じられるのも誤解を生み、宗教法人制度そのものの信頼を傷つける。

無住や兼務の寺院問題を宗門の将来ビジョンの中に明確に位置付け、解散・合併も含めて正面から取り組むべき時期に来ている。

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