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自己責任論 若者よ自分を責めるな

2019年7月10日 10時37分

参議院選挙が公示され、選挙戦が始まった。安倍自民一強の情勢の下、野党は1人区では候補者を一本化するなど対決姿勢を強めている。注目されるのは、これほど景気が悪化し、格差が拡大して貧困層が増えているにもかかわらず、この10年間で生活に不満を持つ人々が政権支持の傾向を強め、また格差拡大容認の割合が貧困層で最も増えていることだ。さらに言えば、非正規雇用を強いられがちな20代、30代の若者たちに自民党支持が最も多い。

背景にあるのは一種の自己責任論である。自分が豊かになれないのは、しょせん才能や努力が足りないからだ。逆に成功して金持ちになれるのは、やっぱり才能や努力の結果である。しかし、このような自己責任論では、格差社会をそのまま認めてしまうことになろう。

貧困層の最後の拠り所は生活保護である。SNSなどの書き込みを見ると、自分たちは非正規でこれだけしか給与所得がないのに、何もせず生活保護を受けるとは何事かと憤懣の声が少なくない。批判の矛先が逆向きではないだろうか。まず批判すべきなのは、そのような経済不況を招いた政治に対してであろう。本来、自己責任論とは単なる現状肯定の論理ではないはずだ。まして自分や他者を責めるために使うものではない。

若者が保守化しているという分析もあるが、政権与党の支持が保守というのはあまりに短絡的な見方だ。責任を当然追及すべき相手から巧妙に矛先を逸らされ、自己責任論によって丸め込まれているとすれば大きな問題である。実際、格差拡大や貧困増大は、個人レベルの能力や努力などでは限界があり、野党も含め政治の責任で解決すべきものだからである。

健全な政治は健全な批判精神に支えられて成り立つ。為政者に全てお任せでは民主主義も育たないのである。為政者の言うことを鵜呑みにして、自分自身を責めるばかりではいけない。有権者、特にこれからの時代を担う若者たちこそ、政治に対してはしっかり是々非々の声を上げてほしい。

さて、宗教者は在野中の在野の存在である。政治的には様々な意見や立場があろうが、昨今の格差増大、貧困拡大を良しとする宗教者はいないはずだ。また、宗教者ならば、この世の苦を明らめることを通じて、自己責任の範囲をも見極めることができる。最も弱い人々の目線の高さに立ち、彼らの声なき声に応えていくという基本線を保つならば、いかなる政治的スタンスを取ろうとも決してぶれることはあるまい。

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