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先祖供養の大切さ 「いのち」の流れの継承

2019年12月2日 09時51分

近年、少子高齢化や生活様式の変化に伴い、家の墓地を整理したり、仏壇を処分したりする人々が増えてきた。いわゆる墓じまい、仏壇じまいである。

この現象の背後には、自らの“家じまい”への意思が見て取れる。戦後の核家族化は、ある意味で将来の家族解体を先取りしてきた。子どもたちが独立して家を出て、親が相次いで亡くなれば、家はいや応なしに途絶えてしまうことになる。

家の跡継ぎがいなければ、代々の供養継承もあり得ない。それならば、いっそのこと生前元気なうちから墓や仏壇を始末しておこうというわけである。ある調査によれば、仏壇を持っていない世帯は6割、アパートやマンション住まいの場合は8割にも上るという。

仏教界では、先祖代々守ってきた宗旨と切れるのは残念なことだと、寺院の危機として捉えがちである。しかし、もっと本質的な問題に目を向けることが肝心である。その問題とは、縁あって築き上げてきた家の解体であり、家の宗教の消滅のことである。

多くの人は、家が解体されるが故に、家の宗教も消滅すると思っているが、もしかしたら因果関係は逆ではないだろうか。つまり、家の宗教が希薄になるから“家じまい”に拍車が掛かるのである。というのも、先祖供養という形で支えられてきた家の宗教こそ、家の存続を支えてきた当のものだからである。ここで求められるのは、家と家の宗教についての認識の根本的な転換だ。

1960年代、家の宗教から個の宗教へという運動が大手伝統仏教教団で展開された。そこには当時、急成長中の新宗教への危機感から、檀信徒一人一人の信心・信仰を強化するという狙いがあった。この運動は確かに一定の成果を挙げたが、個の宗教を強化する以上に、家の宗教を衰退させてしまう側面もあったのではないか。

供養というのは、ただ単に故人や先祖のために行う儀礼ではない。それはむしろ、後に残された者による宗教的生き方の一こまなのである。供養の営みを通して、家族は故人や先祖によって守られていく。なぜなら、そこに「いのち」の流れがあるからである。

家族のダウンサイジングで墓地や仏壇の維持はどうしても困難になり、これらの縮小はやむを得ない。しかし、供養を途絶えることなく続けることで、「いのち」は過去から現在、そして未来へと流れていくことができる。この「いのち」の流れを継承していくことは、縁あって家族となった者一人一人の務めではないだろうか。

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