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生死は神の領域 知に誇り見失う一貫性

2019年12月11日 11時11分

言語が成り立つ基本条件に「区別」があることはよく知られている。例えば「私」と「他者」を区別する。この区別ができれば、「私」が何であり「他者」が何であるか、その内容を知らなくても、「私」という言葉が使える。こうして自己と他者、個人と社会、主観と客観、人間と自然などの区別がなされ、さらにそれぞれが際限なく細分化されていく。

現代は情報社会であり、情報は言語で形成される。正確な情報が求められれば求められるほど、存在領域の区別がなされ、分断され、それぞれの内容も言葉で与えられる。現代文明はこのような区別と分断の上に成り立っているといっても過言ではない。

他方、仏教、特に大乗仏教はこのような分断に対立するものであった。「色即空」はよく知られるが、道元禅師は「生死は仏の御いのちなり」と言う。生と死は人生における最も基本的な区別の一つだが、その区別が超えられている。では「仏の御いのち」とは何のことか、東洋ではそれを「自然」(おのずからそうなること)とも言い表してきた。東洋だけではない。古代ローマの哲人キケロも『老年論』の中で生死は自然の事柄だと語るのである。

キリスト教ではどうかというと、神と世界とは異なるものであり、神は絶対他者とされるというのが、一般的な見解である。神は世界を創造し、歴史を支配する全知全能の人格神であり、祈りに応える存在、つまり「汝」に譬えられる他者である。伝統的なキリスト教では事実そう考えられている。

しかし、新約聖書ではいささか別である。パウロは「神は万物のなかではたらいて、万物をそれ自身たらしめる」と語る。では生と死はどうかというに、イエスの言葉に「一羽の雀といえども神なしに地に落ちることはない」というものがある。神が殺すのではないが、生と死は神の支配領域の中の出来事だ、というのであろう。

神の支配とはいかなるものかを示す例として、やはりイエスの言葉に、麦の種は地に播かれると「自然に」(おのずから)成育し、結実して刈り取られるというものもある。いずれにしても「生死は仏の御いのちなり」を想起させるところがある。

言葉を使う人間はとかく世界を分断して一方を求め、他方を排するものだ。現代文明はその頂点にある。「一」を見失えば争いの絶え間がない。言語情報によって成り立つ現代は、知に誇って自他・生死を一貫するものを見失ったといえるだろう。

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