PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
今年度「宗教文化講座」中止のおしらせ
PR
宗教文化講座中止のお知らせ 墨跡つき仏像カレンダー2020

自動車の変遷から 老・死のケアは仏教の出番

2020年1月8日 10時56分

昔ながらの宮型霊柩車を見掛けなくなって久しい。中年以降の世代の人なら、子どもの頃に霊柩車を見たら親指を隠せと言われたことがあるだろう。そうしないと自分の親が亡くなるぞ、という一種の迷信である。しかし現在、霊柩車のほとんどはバン形式の洋型車であり、街中を走っていてもほかの一般車と見分けがつかない。

一方、街中で見掛けることが増えたのは、高齢者が利用するデイサービスの送迎車だ。多くは小型の乗用車を転用したもので、これも一見したところ一般車と区別がつきにくいが、車体に運営主体の名前が記してあり、よく見ればそれと分かる。この送迎車が住宅地で停車していると、その家に利用者がいることも自ずと知られる。

変わらないのは救急車である。最近は車高が高いワンボックス型が主流であるが、白い車体に赤のライン、点滅する赤色ランプをつけているので、遠目でも救急車だと分かる。

こうして自動車の変遷を見ても、日本社会での生老病死に対する見方が反映されているかのようだ。急病人を運ぶ救急車は、何といっても目立つ必要がある。デイサービスの送迎車は近年になって初めて出現したものだが、小型の一般車を用いることで、老いの姿がそれとなく人々の目に触れないようになっている。霊柩車は、死を隠蔽しているかのように、その存在は全く目立たなくなった。

老いや死の姿はそれぞれに社会から隠されている。だが我々は人間として生まれてきた以上、この二つを避けることができない。高齢・多死社会ともいわれる令和時代の家族の多くは、今後この二つに直面することになるだろう。近年顕著に増えているのが単身世帯や夫婦だけの二人世帯であるが、その大半が高齢者世帯である。

仏教の教えには、生老病死のトータルケアに関わるものがある。現在、その大半が希薄化しているものの、人生の節目に仏教の伝統行事があり、それらが人々の通過儀礼となってきた。とりわけ誰もが直面する老・死については、仏教は檀家制度を通じて培ってきた経験と知恵が豊富にある。この制度の中に、きっと家族を守る秘訣もあるはずだ。

家族は社会の最小単位であるが、その家族がますます縮小される現在、社会の支援なしには家族も成り立たない。家族と社会をつなぐ人材として仏教者に何ができるか、また両者をつなぐ場として寺院がどういう役割を果たすことができるか。令和2年を迎え、老・死のケアに対する仏教の出番がいや応なしに来ている。

新しい生活様式と宗教 IT時代の在り方の確立を5月29日

政府の新型コロナウイルス対策専門家会議が感染防止のための「新しい生活様式」を提言した。厚生労働省の資料によれば、人との間隔はできるだけ2メートル空ける、会話をする時はマス…

21世紀の宗教的課題 どの課題と取り組むか5月27日

3月以降、新聞各紙が報じた宗教関連の記事は、新型コロナウイルスに関わるものが多い。各種の行事の自粛やコロナ退散祈願などの例は、数え切れない。特に地方紙を見ると、その地で長…

問われる宗門の役割 「コロナ後」の法灯継承5月22日

新型コロナウイルスの病禍拡大で葬儀、法事も3密を避けて縮小、延期され、法話など対面式の教化活動もままならない。一般寺院は、経済的にも厳しい状況を迎えている。 これに対し、…

参拝者減で歳入が厳しい本山本願寺(京都市下京区)

当初予算費7000万円減 本願寺派、本山からの回付金

ニュース5月29日

宗教法人へ持続化給付金先送り 与党調整進まず

ニュース5月29日

托鉢自粛や坐禅会中止 専門道場のコロナ対策 妙心寺派

ニュース5月28日
このエントリーをはてなブックマークに追加