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「居場所がない」 社会にゆとりを生む働き

2020年1月29日 09時59分

自分の「居場所がない」と感じる人が増えている。何とか居場所を設け「ともにいる」時を持とうとする例も増えている。その背景に、弱い立場の人たちの居場所を奪うかのような世の動きがある。

2016年7月に起きた相模原の知的障害者施設殺傷事件の裁判が始まった。被告は繰り返し、知的障害者は世の役に立つことができないのだからこの世に居場所を与えてはならないと、殺傷の正当性を主張している。

障害者たちや家族らは居場所を否定されるような思いをする機会が多かった。それに対し学校や職場で、あるいは地域社会でも居場所を増やすように社会に求め、それが実現する方向に進む場合もあった。昨年は国会でも障害者の居場所が拡充した。だが、他方でそれを否定するような考え方もしばしば主張される。「生活保護は無駄遣いだ」「役に立たない者に居場所はない」というように。

居場所を否定され苦しむ人はほかにもいる。路上生活者もそうだ。居場所がなく路上生活をせざるを得なくなったのだが、路上からも追い出す動きがあり、路上生活者を襲う中高生がいる。彼らはなぜそのようなことをするのか。相模原事件の被告もそうだが、彼ら自身、居場所がないという恐れの中で生きているのではないか。

居場所がないと感じる人は多く、そこから暴力的な事件が起こったり、つらい生活が続いたりしているのではないか。虐待される子やひきこもりの人も、異なる形で居場所がなかったり、脅かされたりしている。フリーターとか失業者も、認知症や心身の機能が衰えていく高齢者も居場所のなさを感じている。生きづらい社会だ。

なぜそうなのか。「せちがらい」という言葉がある。辞書を引くと「暮らしにくい」「損得についての考え方にゆとりがない」と語義が書かれている。せちがらい世の中だけど、それは人間本来の在り方ではないという意味が含まれている。ところが、現代社会はせちがらさがどんどん強まり、ゆとりがなくなっている。そうなると、自分が生きていくのに役立たないものに関心を持つ暇はない。せちがらさに居直ることにもなる。

だが、そのことが様々な理由で弱い立場にいる人たちの生きづらさを増幅し、居場所を奪うような帰結をもたらしているのかもしれない。そのような反省をしながら、ますます居場所がなくなるような社会を何とか変えていこうと考え、行動することもできるだろう。「子ども食堂」が広がっているのは、そうした思いが形になったものだろう。

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