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悲劇伝える意義 東日本大震災の遺構

2020年2月19日 10時56分

東日本大震災から来月11日で9年。被災地を巡ると、この間に激変した街並みは更地、空き地だらけでハード面でも復興がまだまだ進んでおらず、喪失の悲しみを抱えた人々の「心の回復」もまだまだ遠いことを実感する。折に触れて死者の記憶を語る被災者の、その気持ちの象徴が各地の“震災遺構”だともいえる。

津波で児童と教職員84人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小では、学校や教育委員会の防災対応と避難処置の不備を指摘した遺族の訴訟で最高裁が原告の主張を認める決定を出したが、遺族は「裁判が終わっても息子は帰らない」「判決が子供の命を守るわけではない。教育現場は早急に対策を取ってほしい」と悲痛な声で訴えた。同市は校舎と周辺を遺構として保存、前の県道から建物の残骸が見えないよう悲嘆感情に配慮しつつ、慰霊と教訓伝承の設備を造る計画を打ち出している。今年も教育関係者らの視察が相次いでおり、供養に通う地元僧侶もいる。

同県気仙沼市では、旧気仙沼向洋高校舎の遺構を活用した震災伝承館を設けて多くの見学者が訪れており、どちらも意義は大きい。

多くの町職員が亡くなった同県南三陸町の旧防災庁舎は「惨事の教訓に」と保存を求める訴えと、「見ると悲しい思いをかき立てられる」と撤去を望む意見が町民にもあり、処遇が未定のまま、取りあえずは現状維持となった。

現地を訪れると赤さび色の鉄骨の残骸は、一帯の地盤かさ上げによる巨大な丘陵の谷底に位置し、少し離れた場所に整備中の復興祈念公園から望むようになっている。見学と慰霊に来ていた人たちからは「ここで起きたことは衝撃だ。防災を考える教材としても残してほしい」との声が聞かれた。職員の遺族も「遺構を見ることで避難の在り方の教訓を実地に理解してもらえる」と話している。

だが、消されてしまった遺構もある。同様に多数の職員が命を落とした岩手県大槌町の旧庁舎は、避難対応に問題があったとの指摘から当時の検証のためにも残すことを主張する意見が強かったが、現町長は撤去を決め昨春に完全に解体された。「震災の語り部、死者の墓碑銘なのに」との町民の意向や遺族の思いを受けて保存を求める訴訟の代表を務めた地元の曹洞宗の住職は「後世の人々に悲劇を伝え、防災意識を高めてもらうためにも目に見える物が必要」と具体的な震災伝承の代替手段を模索している。それは僧侶として「復興と、死者を決して忘れず弔うことの両方がこれからも大事」との思いからだ。

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