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予期せぬ災厄の頻発 「限界」自覚し新たな展望を

2020年2月28日 17時39分

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の流行で中国・日本をはじめ、グローバル社会総体が激動している。日本社会は難局に陥った。大量の住民を短時間で移動させることができる都市交通システムは日本が誇るものだが、疫病の流行の際には疫病蔓延の効率的な媒体となると自覚せざるを得ない。人々の移動が容易だという文明社会の利点がそのままリスク要因となっている。

今年に入って南極で摂氏20度の気温を観測した。その少し前の時期にはオーストラリアの森林火災でコアラが焼け出され、地球温暖化の加速が懸念された。アマゾンの森林火災の影響も憂慮されている。昨年夏から秋にかけての日本では、頻発する台風等による風水害が続いた。気候変動が加速し、新たな災厄の続発を恐れる人が増えている。もはや「気候変動」という言葉では不十分で、「気候危機」と呼ぶべきだとの論に賛成する人も多い。この災厄は文明社会がもたらしたものである。

感染症の克服は近代医学の偉大な達成と見なされてきた。ペスト、コレラ、天然痘、赤痢、結核等々が科学の力によって制圧されたことが、人類は長寿を享受できるようになったことの大きな要因の一つだと見なす人も多かった。文明社会は進歩によって次々と災厄を克服していくはずだった。

ところが20世紀末頃から新たな感染症の流行が、度々大きな災厄や不安をもたらすようになった。当初はエボラ出血熱やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)のように赤道に近い地域から来る疫病が恐れられたが、昨今はSARS、MERS、そして今度のCOVID-19のように、世界の四大文明の発祥地から広がっていく疫病が恐れられるようになってきている。

リスクを減らしていくことで安全・安心を高めることが文明社会の力の証しだと考えられていた。自然の猛威にさらされていた人類が、自然の猛威を制御し、人間の幸せな生活の条件を拡大していく、これが文明だと見なされてきた。科学技術はその最も有効な手段として、人々の信頼を集めてきた。原子力利用(核利用)もそのような働きへの希望を象徴するものとして喧伝された。

だが、21世紀は科学技術文明がもたらす、予期せぬ災厄に苦しむ時代となったかのようだ。こうした時代だからこそ、人々が宗教や人文知に何かを求めているのではないか。人間の力の限界を自覚した上で、どのような良き社会を展望するのか、そこに光を注ぐような叡智のありかを示していきたいものだ。

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