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震災悲劇忘れない 人から人へ思い伝える

2020年3月13日 11時33分

11日で発生から9年を迎えた東日本大震災。被災した各地で慰霊追悼の催しが行われた。市街地が壊滅した岩手県陸前高田市の曹洞宗寺院では全壊した伽藍跡近くの仮設本堂で法要が営まれ、145人の檀家犠牲者の名前を読み上げた住職は「思い出したくない苦しみも多いけど、死者のことを考えると忘れてはいけないこともある」と参列者に話した。被災した人々が自らの思いを込めて発する言葉やその姿こそが、悲劇を「忘れない」ことの重要性を示す。

同県釜石市で被災し全壊した写真館経営の男性は当時、道端で人々の目の高さにカメラを構えて災禍を記録した。津波がビルの角を曲がって迫るのをぼうぜんと立って見守る人々。地震から20分以上たって突然に押し寄せた海に、「『何これ?』と思考停止状態になった。シャッターを押してすぐ皆で駆け出しました」。多くの写真を見せながらのリアルな話が極めて具体的な教訓を伝える。

宮城県南三陸町でも店と家を流された写真家が、跡地の上に造成した高台の商店街に写真展示館を開く。完全に水没した町防災庁舎の屋上に何人もの職員がしがみつく衝撃的なカットもある。写真家は「葛藤しながら撮影した。目の前の事態が信じられず、肉眼で見た記憶がない」と証言する。

その防災庁舎で避難呼び掛けの町内放送を最後まで続けて亡くなった女性職員の母親は、娘の名を付けた民宿を経営し、宿泊客に当時を語り聞かせる。「“気高い犠牲者”になるより生きていてほしかった。何があってもまず命を守ることが大事」との訴えは重い。ほかの被災地の遺族や福島原発事故で避難を強いられている人らも泊まりに訪れ、気持ちを通じ合わせた。

児童ら多くの犠牲者が出た同県石巻市の大川小では、遺族らが見学者に語り部活動を続ける。津波にのまれながら奇跡的に助かった当時5年生の青年が2年前から加わった。「自分が体験した災害の恐ろしさ、なぜ多くの命が失われたのかをしっかり伝えたい」と。

今年1月、菅義偉官房長官は政府主催の震災追悼式を「10年は一つの節目」と来年で終了する方針を明らかにしている。大川小の廃虚では寒風の中、男性が小型重機で地面を掘り、すくい上げた土をスコップでかき分ける作業を黙々と続ける初老と中年の女性たちの姿があった。なお行方不明の児童の遺骨や遺品を捜す遺族だとすぐ分かった。「いろいろ見つかるんですよ」と力のない声が、人々の悲嘆には「節目」などないことをはっきり物語っていた。

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