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いのちとは何か 限定不可能な無限の尊さ

2020年3月19日 14時00分

重度の障害者が多数殺傷された「やまゆり園事件」の判決(死刑、16日・横浜地裁)を前に、れいわ新選組の木村英子参議院議員が障害者の立場を語っている。

議員は幼少の頃事故で頸部を損傷し重度の障害者となり、成年するまでの大部分を施設で暮らした。そこは牢獄のような場所だったという。お前たちは無意味な存在、社会の重荷だと職員にまでいわれ続け、自由のない環境で、希望すらない日常生活だった。そのあと結婚して母となり議員となった彼女が望むのは、障害のある子どもが生まれたとき「おめでとう」といえる社会だという。(朝日新聞、3月10日)

やまゆり事件の犯人は社会にとって無意味な人間を排除しようとしたまでだと、かつて「劣等人間」を地上から抹殺しようとしたナチのような主張を述べている。誰が聞いても正気の沙汰ではないが、改めて、ではこの主張のどこが誤りかと問えば、どこまで正確・適切な答えができるだろうか。

そもそも「意味」とは何か。それは大小、多少、高下などの差別化に基づいている。そして実は言語も差別化に基づいているのである。単語はあるものを他から区別し際立たせることによって成り立つ。当のものの内容が正しく知られてなくても、単語として使用可能になる。

他方、文は単語の組み合わせだが、我々は言語世界を秩序づけるに際し、個と普通、原因と結果、手段と目的というような論理的カテゴリーを用い、さらに大小・強弱・高下のような数量化を用いる。価値の序列はこの観点から作られる。

価値の序列化を可能にするのはやはり価値の差別化である。我々は日常生活において常に価値を差別化し数量化・序列化している。経済はその典型である。ここで誤りやすいことがある。地位や業績や能力は損得と同様、上下、大小、強弱の観点から差別化可能である。ここで序列を作ることも、往々にして勝手な視点からなされるとはいえ、可能ではある。しかし差別化が不可能な領域がある。

「生命に値段はない」という事実は、生命は差別化と言語化の基礎、可能条件であって、それ自体は差別化、言語化を超えているということだ。換言すれば、生命自体は無限に尊いものであって、価値の観点から「お前は生きるに値しない」と言うことはできない。問題は価値がほとんど経済的価値に一元化された現代において、生命それ自体の限定不可能な無限の尊さが実感されていないことである。

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