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“復興五輪”の下で 原発事故への怒りやまず

2020年3月25日 11時30分

東京電力福島第1原発の事故によって故郷を奪われ、遠方に避難を余儀なくされた被害者たちが各地で起こした損害賠償訴訟では、東電の責任を指弾する判決が相次ぎ、先日は仙台高裁で二審初の住民勝訴判決があった。

福島県では震災直接死よりはるかに多くの関連死も含めてあれほどの罪過を犯した責任は絶大だが、東電や国が十分な対応をしているとはいえず、被害者たちの怒りと悲しみは深い。震災9年を経ても事故はなお現在進行中だ。

先の震災犠牲者慰霊祭でもその声は強く、原発から10キロの福島県浪江町の法要では、導師を勤めた地元真言宗室生寺派大聖寺の青田敦郎住職が諷誦文で「山川草木全てを汚し、人々の身も心も生業も傷付け、縁を分断したる悪行は、我々を悲憤の流浪避難の民とせしめる」「禍々しきも危険極まる残滓を携えた断末魔の核の砂上の楼閣第1原発」と厳しく指弾した。

住民の気持ちを代弁する厳しい言葉に参列者はうなずき、遺族代表も議員ら来賓たちも「事故さえなければ捜索で助かった命もあったのに」と口をそろえた。直後に避難を強制され、津波で流された人の救助を断念せざるを得なかった無念さが共通の思いだ。

青田住職は全町避難後の一時立ち入りで住民が廃虚で家族の供養をするのに合わせ、高放射線量の中で防護服の上から衣と袈裟を着けて読経した。その姿は国内だけでなく海外メディアにも取り上げられた。住職は「不動明王は憤怒の相です。慈悲の怒りは人間としても不正をただす道」と語り、法要でも「災禍を顧みぬ原発再稼働を許さず 虚言為政者の愚かなる政治判断を糾弾 万物万民に被曝汚染・搾取犠牲を強いる原子力の一切廃絶を希求し」と唱えた。

同町内も、3月に帰還困難区域の一部解除が行われた隣接の双葉町でも、長い避難によって街中に住宅の廃虚やがれきが放置され、津波で被災した場所も手付かずで荒野と化した。3月26日に県内被災地の生活道路を通行止めにしてオリンピックの聖火リレーがスタートする予定だが、「一見きれいで復興が進んだように見える場所だけ走り、被害のひどい所は隠される」との反発が宗教者からも聞かれ、「“復興五輪”など全くのまやかしだ」との声が強い。

同様に全村避難を強いられた飯舘村の役場職員で浄土真宗本願寺派寺院の住職は「人口が回復しない中で若者が聖火ランナーをすれば晴れやかな体験でしょうが、将来、あの時に周囲がどんな状況で走ったのかと深く考える時が来るでしょう」と話した。

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