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地下鉄サリン事件25年 語り継ぐべきものの選択

2020年3月27日 16時13分

新型コロナウイルスの影響で、地下鉄サリン事件から四半世紀を経た関連の催しも中止となった。事件の風化が強まるのではないかと危機感を持つ人も少なくない。

1990年代後半以降に生まれた人たちにとって、オウム真理教の起こした多くの犯罪は、実感しにくい出来事である。地下鉄サリン事件では死者13人、負傷者数千人が出たことは知っていても、この事件が当時の日本社会にどれほど衝撃を与えたかは、想像しづらいであろう。

事件直後は大きな衝撃を受けた人も記憶は次第に薄れていく。オウム真理教事件に限ったことではない。300万人以上の命が失われた戦争でさえそうである。

しかしオウム真理教は後継団体アレフが新たに信者を獲得しており、分派したひかりの輪も活動を続けている。決して過去の話ではない。一昨年7月に麻原彰晃と元幹部計13人の死刑が執行されたのが事件の一つの区切りになったとはいえるが、事件直後に議論された点の多くは論議が極められていない。また教訓とすべきことが何かについても深められていない。

事件直後を思い返してはどうか。宗教について知識の乏しい一部の人たちは、オウム真理教を宗教団体の典型と見なし、宗教の持つ危険性をオウム真理教の教えや活動から論じた。また宗教学者の一部が、事件が明らかになる以前に麻原を好意的に紹介したことから、中立的立場で宗教研究をする人たちにさえ、批判が投げ掛けられることもあった。

この状況に危機感を覚えた宗教関係者や宗教研究者が、自分たちの活動の在り方の自省も行いながら、宗教に関する適切な情報の発信について模索した。そして設立されたのが宗教情報リサーチセンターである。同センターは、あふれるオウム真理教情報を分析し、『情報時代のオウム真理教』と『〈オウム真理教〉を検証する』の2冊の書を刊行した。しかし同書で論じられている事件の教訓はあまり生かされているようには思えない。事件に関与し刑に処せられた元幹部を擁護するような立場の宗教研究者すら現れている。

オウム真理教に限らず、事件を起こした宗教団体の指導者は、人を引き付ける何かを持っていることが多い。それは宗教の真理とか倫理的な意味の善悪とは別次元のものである。そのことは、日頃多様な宗教の姿に接している人は、体験的に感じているはずだ。巧みな言葉に惑わされず、日々の活動から冷静に見分けなければならないというのが、オウム真理教事件の教訓の一つである。

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