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同調志向強い文化 我執と欲が目を曇らせる

2020年4月8日 11時08分

中国からの原料輸入が途絶えてトイレットペーパーが不足するというデマが流れた。やがてスーパーから大荷物を抱えて帰る人が目立つようになり、あっという間にスーパーの棚からトイレットペーパーが消えた。これは安価で長期保存が可能、しかも生活必需品だから買いだめの対象になりやすいのだろうが、石油ショックの折の経験知もあったはず。何とも軽はずみなことではある。

この騒ぎは小さな事例にすぎない。しかし事実を無視した同調志向は大災害を招く場合がある。著しい例を求めれば、対米戦争がそうだった。国力の差を考えればアメリカと戦って勝つわけがないことは誰にも明らかだったはずだ。実際、当時の連合艦隊司令長官・山本五十六には日本の戦力は半年しか持たないことが分かっていた。だから緒戦を有利に展開して早期に講和に持ち込もうとした。しかし相手が講和に応じなかったらどうするのか。

誠に無謀な戦争だったのに、国威発揚忠君愛国の熱狂の中で当時の指導者たちは戦争反対を自分から言い出すことができなかった。誰かが言い出したら同調しようと思ったというのだ。

近い例では原発事故がある。東日本沖では巨大地震と津波の発生の例が少なからず、実際予見されていたのに、東京電力の経営責任者はその事実を十分に考慮しなかった。その結果、被害の額だけを考えても、地震対策の費用の数千倍にも達するほどになってしまった。

明らかな事実の無視に導くものは、単なる無知ではない。実は我執と欲であり、保身でもあり、大勢に反することを恐れ、孤立できない弱さが大きい。これは社会生活を営んできた人間一般に共通することではあるが、日本ではほとんど文化になっているのではないか。

文化とはこの場合、特定の社会的営為が世代を通じて受け継がれていくことである。権威に従順な傾向は250年続いた江戸時代に育まれたのだろうか。他方、外国の例を見れば、古代イスラエルの預言者、古代ギリシャの哲人はあえて大勢に逆らって語り、迫害を恐れなかった。この伝統は西洋文化に生きていたといえるだろう。

我が国にも日蓮聖人や内村鑑三のような例があるけれども、比較的まれだったように思われる。そもそも我執や欲が目を曇らせ、通念に流されれば本質を見失うことは、宗教が古代から説いてきたことだ。ここにも宗教の深みを忘却した現代人の姿を垣間見ることができるのではないか。

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