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緊急事態宣言 「3密」を避けてなし得ること

2020年4月10日 13時52分

政府は7日、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ緊急事態宣言を発した。対象は首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉と近畿の大阪、兵庫および九州の福岡。安倍晋三首相が発表した7都府県には含まれていないが、愛知県知事も緊急事態宣言の対象に追加指定を求めている。

宣言に至る政府の対応については様々な意見が出ている。また、「自粛」を中心とする宣言の実効性や給付金など経済支援の具体策についても議論が集まり、海外メディアからはネガティブな評価があるようだ。確かに、スピード感に乏しく、政策決定の舞台裏のゴタゴタが見て取れる。

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ取り組みを戦争に例える言説がある。新型肺炎で国民多数が死亡した各国の状況を見ると、人類共通の「敵」に対する「戦争」のイメージは誇張ではない。この中で、日本の対応は「戦力の逐次投入」だという批判も出ている。不安は確かに拭いきれない。

政府の対策の手ぬるさを厳しく叩き、私権制限を強く要求する意見は強い。ただ、私権制限が必要だとしても、為政者が法に基づき自らの責任を以て示すべきで、「非国民」批判など過激な言辞に押し流されるのは危険な構図であろう。その兆候は警戒したい。

過激な意見は不安や恐怖の表現でもある。宗教は病疫を科学的に抑えることはできないとしても、対立や分断をかき立てる不安や恐怖には最もよく対応できる。宗教者が3つの密を避けてなし得ること、なすべきことは多い。

だが、不安から人々を救う目的で行われているはずの宗教集会が感染拡大のきっかけとなった実例が多発し、大規模集会を開いた当事者、さらには宗教そのものへの批判につながっているという状況もある。批判された側は「信教の自由」に触れているようだが、感染拡大の危機の中で、信仰の中心的価値を守るため感染拡大しやすい環境をつくる必然性はない。これを信仰の価値と国法や世俗倫理の対立という問題に還元して考える必要はなかろう。

ところで、偶然にネットを見ると、8日の検索キーワード上位に「花まつり」があった。ある寺院の住職が法要で釈尊降誕を祝えない人のため、「リツイートの数だけ住職が代わりにお釈迦様に甘茶をかけます」とツイートし、これに対するリツイート数が数万に達していた。殺伐とした世間の雰囲気の中、何かほっとさせる話だ。

新型コロナウイルス問題は長引きそうだが、様々な工夫で教化の可能性を広げるよう期待したい。

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