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要請に従うだけなのか コロナ禍が問う社会の質

2020年4月15日 13時27分

日本人の従順さが美徳として語られることが多い。秩序と規律を重んじ、大災害の際には避難所の劣悪な居住環境で関連死が相次いでも、公的支援に乏しく生活の立て直しが困難を極めても、被災者は黙々と苦難に耐えてきた。外国人がその忍耐強さに驚いた話はよく耳にするが、従順な国民性はいいことずくめではない。裏に潜む「負」の側面をよく認識しておかないと、新型コロナウイルス禍の「緊急事態宣言」との向き合い方を誤る恐れがあるように思う。

思い起こしたいエピソードがある。東日本大震災で国会に設けられた原発事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長は英語版報告書の序文に、原発事故の根本的な原因は日本文化に深く根を張る権威への「条件反射的な従順さ」など日本的慣習にあると記した。日本語版にはなかった文章だが、原因を文化的文脈に求めたのは先の大戦の「一億総ざんげ論」に通じ、外国メディアには責任関係がぼけると不評だった。ただ、原発事故の「人災」としての本質の一面を突いたことは間違いない。

一昔前の入社試験なら、従順は「上」の指示に素直に従い、周囲とも協調的と評価されただろう。だが、個人主義が浸透し競争も激しい現代は個々の人材の多様な個性と能力が生かされる仕組みが不可欠だ。無批判な権威・権力への忖度や従順さは慣習や多数派への同調圧力を生み、組織や社会の危機管理が軽視されるばかりか活力がなえ、時として暴走する。先日も触れたが、最近の世相に懸念されるのはこの潮流ではないか。

もともと人は不安や恐怖に遭うと権威に近づき、無条件にその指示に従いがちになる。だから一人一人が冷静で主体的、自律的に判断し、振る舞うことが大事だ。一方、指導者には専制に陥らないように思慮深さと慎みが求められる。その点でドイツのメルケル首相が3月に行った演説は示唆に富んでいた。首相はコロナ禍克服のための国の決断を透明にし、市民には深刻な事態を「自分の課題」として真剣に考えるよう求めた。

日本では安倍晋三首相が7日「緊急事態宣言」をしたが、縮めてしまうと戦後最大の経済危機の克服に国民の「協力」を求めたものだった。「自分の課題」と「協力」とでは意味合いはずいぶん違う。「協力」要請には、国民を従わせるというニュアンスが潜んでいる。

コロナ禍は長期化が予想され、国と市民が思いやりと共感で支え合わねば息切れする。そんな開かれた関係を長く築けるかどうか。社会のありようも問われている。

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