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AIの時代 人間尊重の設計思想で

2020年4月22日 14時38分

航空機業界では、すでに自動操縦が導入されて久しい。飛行機なら、離陸してしまえば定められた航路を飛ぶ限り衝突の可能性は極めて低く、コンピューター制御が比較的容易である。自動車業界でも、次世代の技術として自動運転が開発中である。しかし道路では多くの車両が行き交い、状況も刻々と変化している。そこで注目されるのがAI(人工知能)である。

AIをどのように設計思想に組み込んでいくかは、飛行機での経験が参考になる。万が一、緊急事態が発生した場合、自動操縦をパイロットによる操縦に切り替えることがある。その際、機体を制御する仕方でボーイング機とエアバス機では設計思想の違いがあり、航空会社が機体を変更した際にパイロットがその操縦に慣れていない場合、事故の危険性が高まると指摘されている。

機械も人間も過誤の可能性はゼロではない。いざというときに、どちらを信用すべきか。その調整は単に技術的な問題というよりも、高度に哲学的な問題である。設計思想は英語でデザイン・フィロソフィーという。フィロソフィー(哲学)とは優れて人間的な営みである。設計思想の根本には人間尊重がなければならない。

ところがAIもまた、これまでの技術革新と同様、省力化を通じて人間の関わりを最小限なものにしようとする。確かにコンピューターによる精確な判断は多くの場合、人間の経験や勘よりも当てになる。その根拠になるのがビッグデータである。自動運転車に搭載されるAIは、道路やその周辺環境に関する膨大なデータを蓄積し、これを解析しつつ現在の状況を瞬時に判断して、ブレーキをかけるかどうかを決める。

ここに見え隠れするのはビッグデータの存在だ。AIはアルゴリズムを駆使してここから最適解を瞬時にはじき出す。人間の経験や勘といった“主観的”な要素は意図的に排除される。自動運転の設計思想の元になっているのは、ドライバー不要という発想である。実際に我が国で、自動運転車の普及が急がれる背景として、地方の公共交通機関やタクシー業界、運送業界の人手不足を解消するという理由が大きい。しかしその一方、これらの仕事に就く人々を締め出してしまう恐れもある。

AIやビッグデータに対して、現在様々な意見がある。しかし設計思想という観点に立って考えたときに、根本的に問い直されるべきは、生身の人間よりもデータを優先する人間不要論の設計思想そのものではないだろうか。

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