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新型コロナ禍で 宗教者は文明と人間論を

2020年4月28日 13時47分

新型コロナウイルスの感染が拡大し、生命の危機や人間の様々な営みの規制という問題が全世界規模で我々に突き付けられる現在、改めて人々へのきめ細かい支え、文明論レベルの深い考察とその発信とが求められている。宗教者は当然、その重要な担い手である。

「疫病退散」や安全を祈ることも大事だが、東日本大震災でもそうであったように宗教者の「祈り」の力や意義は、日常社会の中での振る舞いや具体的行いの裏付けがあってこそ生きてくるものだ。病禍におびえ、また感染者となって世間から白眼視される人たちや、過酷な現場で疲弊する医療者、自粛拡大で生活の糧にも困窮する人々への目に見える支援に乗り出すことが重要だろう。

その上で宗教者としてなすべきは、世界に広がる恐怖に対してこの災厄の人類にとっての“意味”と、それへの人間としての対応の在り方とをしっかり説くことだ。そこには医療・公衆衛生の理念や政治に基づく社会的規制、経済運営といった基準とは全く別次元の価値観、文明観がなければならず、そこに宗教の存在意義がある。東日本大震災では「天罰」と放言した東京都知事が批判を受けたが、同じように「自然」がもたらすこの災禍について天譴論や弁神論を軽々に振りかざすのではなく、人類存在の過去現在未来を見据えた根底的思考が前提になる。

だがそれは机上のコトバだけの論議ではなく、あくまで現実社会に生活する人々のいのちや暮らしに寄り添うものでなければむなしい。天災で実際に多くの死者が出ているのをよそに施設の「復興」ばかりを語るような空疎な発想ではなく、例えば噴火災害を起こした火山にそもそも神が祀られていることに自然の脅威に非力な人間が向き合い生命を守るための鍵があることを直視すべきだ。津波災害の地に過去の犠牲者を鎮魂する宗教的表象が多いのも同様だ。

ソーシャルディスタンス(社会的距離)論議とテレワークなどインターネットによるオンライン交流とは、物理的距離と人間の意思疎通との関係や意味を再考させる。自粛要請と法規による規制は、社会の許容性と国民の自主性、責任感の在り方の問題につながる。フェイク情報に基づく買い占めや物不足パニックは人間の欲望というものをあぶり出す。

それらは社会学や心理学、経済学や情報通信技術の課題ではあるが、宗教にはこれらに通底する「いのち」という絶対的価値から全てを語る力があるはずだ。それを誰にも分かる言葉で説くのが宗教者ではないか。

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