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指導者に求めるもの 生命の尊重こそ根底に

2020年5月1日 10時50分

緊急事態や災害が起きて人々が苦しむときに、今こそ投資の絶好の機会と新たな事業に乗り出す。昨今の世界の大災害に取材して、こんな政治や経済の在り方を「ショック・ドクトリン」という言葉で批判したのはカナダの著述家ナオミ・クラインだ。「災害便乗型資本主義」と訳すこともできる。

新型コロナウイルス禍に対する日本政府の対応にこの一例と評されるものがある。補正予算に世界最大規模の対策費を計上したというが、中には「Go To キャンペーン」が含まれる。「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」と銘打ち経済産業省が打ち出した。「Go To Travel キャンペーン」「Go To 商店街」等のキャンペーンに全国から応募してもらい、「官民一体型の消費喚起キャンペーンを実施する」という。

医療現場では死に直面する感染者の対応に苦しみ、医療用マスクや防護具、人工呼吸器が足りず、重症者のためのベッドを確保するため既存の医療を縮減せざるを得ない。感染の危険を覚悟して休息の時間も惜しんで苦闘している医療従事者がいる。一方、市民は外出自粛、Stay Home が求められ、それがいつまで続くか分からない。事業継続が難しく、店を畳む決断をしようか、全く違う仕事を探そうか、その前に家賃や日々の食費をどうしようかと考えている人々が少なくない状況だ。

どのような人たちが、どのように新型コロナウイルス禍の重荷を背負わざるを得なくなっているのだろう。そうした苦難に思いを致し、その人たちのために何ができるかを考える。緊急の事態に直面して予算を組もうというとき、これこそ政府のやるべきことである。いのちを守るということだ。

政府と東京都は3月24日にオリンピック延期を決定。その直後に都知事は「ロックダウン」の可能性を示唆し、数日後2021年7月に五輪を行うと宣言した。早い段階で首相は「終息後の経済のV字回復」を目指すと述べていた。

首相や知事や経産省の高級官僚がこのように考え、立案するのはもっともだとも思える。政策立案者や周囲の人々は経済全体の落ち込みを予想し、何とかそれを立て直すことが日本の未来のためだと信じてこのような計画を立て、人々の気持ちを鼓舞しようとして希望的な発言をする。

だがこれは致命的にずれている。緊急時に苦しんでいる人たちがそこにいることが見えていない。これは悲しい。「いのちを大切にする」という心が政治・経済の根底にもなくてはならないはずだ。

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