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コロナ禍と宗教界 最困窮者に支援の手を

2020年5月15日 11時10分

新型コロナウイルス禍が市民生活のあらゆる場面に悪影響を広げる中で、社会の一員たる宗教界も何らかの具体的取り組みを求められている。例えば社会で最も困窮する人たち、非正規雇用の派遣労働者や定住せずネットカフェで寝泊まりする若者は、経済活動の縮小で仕事を奪われて生活に困り、店の閉鎖で住む場所さえなくなって路上生活に移行しかねない。

いや、宗教者も多く加盟する困窮者支援団体の全国ネットワークの調査では現にそういう人が増えている。東京ではネットカフェ生活者が4千人とされるが、都の住宅支援は500戸程度。大阪でも労働者の街の簡易宿泊所のあっせんが進められているが数は少なく、またその影響で、これまでそこを生活拠点としていた人があふれる恐れもある。

宗教者による従来からのホームレス生活者への炊き出し活動や食糧配布もかなりの困難を伴うようになった。感染によるものではない生命の危機さえ心配されるという。日雇い仕事の紹介は困難になり、空き缶収集販売や清掃作業などささやかな収入の道そのものが大きく制約されている。

過去には東日本大震災の際にも、大規模な被害で「東北の被災地全体がホームレス化した」と、宮城の宗教者らのNPOが従来の野宿者支援活動のノウハウを生かし、日々の食事供給や仮の住まいの確保などに乗り出した。同じく宗教者も関わる食糧など物資支援のネットワークがこれを後方援助。今回は災禍がさらに広域かつ甚大だ。関係者からは「今こそ、震災時以上の助けを具体的に実行に移してほしい」との訴えも聞こえる。

例えば災害時の避難所のように、住む所がなくなった人たちに寺院や教会、神社などの空間を一時的に提供することは、少人数に限れば検討の余地があるだろう。多くの施設がすれば大きな助けになる。震災では教団レベルで信徒の宿泊施設を開放した例もあった。感染拡大防止の意味から対面での炊き出しなどは難しいかもしれないが、明日の暮らしにも困る人たちに何らかの生活支援をすることは知恵を出せば可能だろう。

国民全体がコロナ禍の恐怖にさらされる中では、そのような支援対象は今はまだマイノリティーに見えるかもしれない。しかしそれを放置するような社会ならば荒廃がどんどん進むだろう。「最も小さくされた人にしてくれたことは私にしてくれたことである」との言葉が聖書にあり、その昔に四天王寺悲田院が困窮者に手を差し伸べ受け入れたことは教科書にも書いてある。

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