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デジタル化社会 再評価すべきアナログ力

2020年5月20日 13時29分

コロナ以前とコロナ以後で、社会は大きく変わる可能性がある。それは社会の「デジタル化」である。新型コロナウイルス感染拡大を防止するため人々が在宅勤務、在宅授業を余儀なくされ、その手段がインターネットであり、この方式が定着すれば、わざわざ会社や学校に通う必要性がなくなると予想される。医療や介護、公共交通機関、販売や配送の領域でも、オンラインでの遠隔診療やAIロボットによる自動運転や商品配達などが進みつつある。こうしたIT化も広い意味でデジタル化の一環である。

現実の世界は微妙な陰影に彩られた連続性の世界だ。この連続性がアナログである。宗教の場合で言えば、寺社や教会の厳かな雰囲気、その中で執行される説法や法要を生身で体験するという臨場感。これが宗教のアナログ的感覚だとすれば、そうした説法や法要をオンラインに乗せ、パソコンやスマートフォンの画面で視聴することがデジタル化である。連続性を段階的に区切って数値化するのがデジタルの意味だから、リアルな体験の持つ臨場感はデジタル化の過程でどうしても切り詰められてしまう。

ネットが一般に普及し始めた1990年代、宗教界でもこれをいち早く取り入れた所があったが、当時はバーチャル寺院だのバーチャル参拝だのと揶揄された。いまやSNSの登場によってデジタル化が大きな流れになっている。

しかし、説法や法要のネット配信はどこまでも一つのツールであり、リアルな宗教体験に導く必要があるのは言うまでもない。バーチャル参拝はあくまでバーチャルリアリティーであって、現実に宗教施設に足を運ぶリアルな参拝ではない。たとえオンライン上の参拝が好評であったとしても、それはあくまでパソコンやスマホの画面を通じてのものだという自覚が大切だ。今、再評価されるべきは、信徒に直接働き掛け、寄り添うという、宗教者のアナログ的な力である。

昨今の情勢で、同じくオンライン化を進めざるを得ない教育界の事例が参考になるかもしれない。ネットがなかった時代、高校や大学の通信教育では郵便でのやりとりが基本であったが、リポート課題に丁寧に自筆添削をして返したり、質問票を受け付けてこれに答えたりという工夫がされていた。こうした工夫が教師のアナログ力である。今こそ、手書きや肉声を介することで宗教者が信徒に語り掛け、応答していくことで、リアルな宗教体験へと促す工夫が求められてこよう。

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