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新しい生活様式と宗教 IT時代の在り方の確立を

2020年5月29日 13時01分

政府の新型コロナウイルス対策専門家会議が感染防止のための「新しい生活様式」を提言した。厚生労働省の資料によれば、人との間隔はできるだけ2メートル空ける、会話をする時はマスクを着用、食事でおしゃべりは控えめに、など具体的で細かな行動の「様式」を示しており、これを心掛けることで「各種の感染症の拡大を防ぐ」ことができる、とアドバイスしている。

さすがにこれは「いつまで続けるのか」という疑問が出てくるのは当然だ。「新規感染者数が一定水準まで低減するまで」としているが、新型コロナ感染は第2波、第3波の爆発的感染拡大も予想されている。また、グローバリズムの影の面として、新たな感染症のパンデミックは発生しやすくなっている。

そもそも「新しい生活様式」という表現を聞いた時、多少の違和感があった。上に触れたように内容的には感染防止の具体的指針だが、「生活様式」は文化と言い換えることもできる。「新しい生活様式」という表現を採用した学者なり官僚は、いつかは無効にできる緊急対応指針以上の永続的な変化を意識したのではないか。

厚労省がホームページで示す細かな実践例の多くはともかく、電子決済の利用や、オンライン会議・テレワークなど「働き方の新しいスタイル」は定着して人間関係や社会、人々の心の在り方を変えていくだろう。政府の方針であるキャッシュレス化は当然、追い風を受けて大きく進むに違いない。

13日付本紙によれば、新型コロナで中国仏教協会から山門閉鎖を指示された中国各地の寺院では法要の動画データを送り、電子決済で布施を受け取ることが増えたという。布施のカード決済は京都仏教会が昨年、「信教の自由の観点などから問題あり」と批判を提起したが、オンライン法要などが増えると布施も電子化するのは自然の勢いだ。信仰・宗教行為の領域に、新型コロナによって加速されたIT化が象徴する「新しい生活様式」はいや応なく侵入してくる。

しかし「新しい生活様式」が意味する長期的変化の中、宗教界が受け身で終始するわけにはいかない。「新しい生活様式」の根底に生まれる精神的傾向に対し、宗教界がその構築に貢献するか、それを相対化する価値を示すことになるかは分からないが、守るべき自らの価値を見失うことなく、IT時代の宗教の在り方を確立する必要はある。緊急事態宣言後の対応で見えてきた宗教上の問題については情報の共有を図り、新たな課題の認識を深めてほしい。

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