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拡大する格差と差別 問われる「平等」の理念

2020年7月3日 10時24分

世界各地で新型コロナウイルス感染症の罹患者と死者は増え続け、それぞれ1千万人と50万人を超えようとしている。早くから明らかになったことだが、世界のどこでも高齢者と基礎疾患を持っている人が死亡する可能性が高い。病院と共に高齢者施設でも罹患者と死亡者が多い。だが、欧州と南米・北米では、人種やエスニシティによって、また貧困の度合いによって、感染、死亡する人に大きな差が出ている。米国や欧州各国で有色人種と貧困層が死亡する割合が相当に高くなった。いのちが軽んじられる人々が少なくないと思い知らされた。

新型コロナウイルスがますます猛威を振るっている時期に、米国では警察官による黒人の殺害事件が起きた。5月25日のことである。その後、人種差別に反対する抗議行動が米国だけでなく世界各地に広がった。「Black Lives Matter(黒人のいのちも大切だ)」を掲げるこの差別反対運動の背後には、ほかのもろもろの差別にも反対し、貧富の格差に憤る気持ちも含まれており、新型コロナウイルス感染症で差別や格差に苦しむ人々が死んでいったことへの怒りと悲しみも含まれていた。世界の政治経済の牽引者であった米国社会の分断と動揺は根が深い。

2020年は1945年の第2次世界大戦終結、89年の東西冷戦の終結に続く、大きな世界史の変動の年となると予想する学者もいる。その世界史的変動の主要な内容の一つは、グローバル化によって広がった差別と不平等の是正が、人類社会の課題として強く認識されたことだ。

市場経済発展のための自由を重んじ、医療や福祉にかかる費用を削減してきた新自由主義の「小さな政府」の立場への批判が強まっている。共同生活の基盤を掘り崩し分断をもたらす政策が続いてきたことがあらわになった。

世界の諸宗教は、貧困と格差のない世界を目指す方向にある。「神の前の平等」や「仏性」という理念は、全ての人間の平等を基礎付けている。日本でも19世紀中頃に天理教が「一れつは皆きょうだいや」と説き、福沢諭吉が「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」と述べたことが思い起こされる。日本国憲法も第14条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定めている。

「コロナ後の世界」では、この平等の理念をどう具体化するかが新たに問い直されるだろう。

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