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ウイズ・コロナ? 「共存」のリスクと緊張感

2020年7月15日 10時35分

新型コロナウイルス問題で「ウイズ・コロナ」という言葉が使われている。しかし「ウイズ」の意味が曖昧である。同様な表現で「シュンビオーシス」という語がある。元来はギリシャ語で「共生」の意味だが、しばしば宿り木のような寄生の意味で使われている。宿り木は宿主にとっては迷惑だろうが、大した害にもならないので、いわば黙認されているわけだろう。

似た言葉に「コエグジステンス」がある。ラテン語で「共存」を意味し、東西冷戦の時代によく使われた。互いに敵対的でありながら、相手を滅ぼそうとすると自分たちの損害も過大になるから、やむを得ず相手の存在を容認するということだ。

「共存」に対し、日本語で「共生」というときは、花と昆虫のように、互いに無害で利益となる関係のことであろう。実はこの意味の欧米語はあまり使われていない。ドイツ語のMitlebenやラテン語系の英語convivenceは多用されていない。

実際、顕花植物と昆虫のような、良いだけの関係は多くはない。普通に見られるのは、共存と共生のいわば中間のような関係で、例えば肉食動物は草食動物にとって天敵だが、彼らがいなければ草食動物は増え過ぎて共倒れになる危険があり、その意味では益になる。むろん草食動物は肉食動物にとってなくてはならない存在である。

個同士ではなく、種同士の関係で見れば、両者はむしろ共生に近いことは、人間と農作物や家畜の場合と同様である。この意味では、動物と植物と微生物は互いに敵対しながらも共生している。動物は植物が出す酸素を利用し、植物を食べる。植物は生きるため、増殖するために動物を利用し、微生物は動植物を栄養源として掃除屋の役を果たす。酵母のように有益なものもある。一般に共生関係は善、もっぱら敵対的な関係は悪とされるが、共存関係がやむを得ず認められていることも多い。

新型コロナウイルスについてウイズ・コロナといわれるときの「ウイズ」は、共生ではなく共存の「共」である。全く無益だが、完全に排除しようとすれば日常生活のマイナスが大き過ぎるから、やむを得ず一定のリスクを覚悟し、その存在の事実を受け入れる、ということだ。

だとすれば、やはり軽々しくウイズ・コロナなどと言うべきではない。病原体は可能ならば完全に駆除すべき相手である。警戒を緩め、油断を招くような響きの言葉は避けた方が良い。

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