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やまゆり園事件4年 社会に広がる優生思想

2020年7月22日 10時43分

2016年7月26日、相模原市緑区にある知的障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」で元職員の男によって入所者ら45人が殺傷された事件からもうすぐ4年だ。毎年の「事件犠牲者を偲ぶ会」は今年はコロナ禍で縮小開催。惨事のあった建物は改築のため、残った入所者は移転し、居住棟などは取り壊されて敷地は遮蔽板に囲まれている。園名プレートを掲げた門も撤去された玄関で参列者の献花を受けるが、地元の禅宗寺院住職は事件後、通り掛かるたびに懇ろに合掌を続ける。

住職は「障がい者はいなくなればいい」と言った事件の被告と同様の意識が社会に潜んでいるように見えるという。「世の中全体でいのちが不公平に扱われている。どんないのちも等しく尊いのに、もっと皆が声を上げなければいけないでしょう」と強調する。主催者の園関係者も「被告が死刑になっても解決ではない。社会の底に優生思想がなお広がっているのが問題だ」と語る。

以前の偲ぶ会で、人権作文コンテストの優秀賞となった市内の中学生が「人の価値」というその作品を朗読した。街中で出会ったやまゆり園入所者たちとの交流に触れ、「車イスで支えられ、挨拶しても返せない人もニコニコ笑っていた……園にいろんな人がいるように世の中にもいろいろな人がいる。誰にも苦手な事があるし得意な事がある。『障がい者』という区切りではなく、1人の人として見なければならないと思う」と述べた。

そして「花火大会で笑っていた園の人たちの顔を僕は忘れる事ができない……みんなに価値がある。人の価値を決められる人は誰もいない」との訴えに、参加者は胸を熱くしたという。しかし、社会ではその後も人命を軽視するような事件や出来事は絶えず、インターネット上では事件の被告を持ち上げるような書き込みも続く。

住職は「役に立つかどうかで人がより分けられる生きづらい世の中。一度落ちたら這い上がれないのは被告も同じだったのでしょう」とも語る。例えばコロナ禍でも高齢で重い基礎疾患のある感染者が人工呼吸器を若者に譲った話が“美談”扱いされ、患者の選別であるトリアージも行われている。

住職には障がいのある義妹がいる。「当事者でないと気持ちは分からないが少しは感じ取れる。自分の生き方も考えさせられる。何があってもあらゆるいのちは公平に扱われなければならない。失敗が許されず人間が使い捨てにされるような世の中を変えるのも宗教者の役割です」との言葉が重い。

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