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どこに希望があるか 核軍事体制とコロナ後の世界

2020年7月31日 11時45分

新型コロナ感染症のパンデミックは拡大し続けている。感染者数と死者数を抑えるには、医療と公衆衛生の対策がどれだけ整えられているかによるところが大きい。小さな政府を求め、中流層以下の人々のための医療や福祉の予算を削減してきた国々で被害が大きくなっている。新自由主義の限界が露呈したとも捉えられている。

巨額の軍事予算を投入し、核兵器の生産・保持に余念がない国々の多くがコロナ感染症の拡大抑制に成功していないことは注目すべきところだ。米国、英国、ロシア、インドなどである。例外は中国で、コロナ感染症の抑制には成功しているように見える。しかし、その代償として国内の政治活動や言論、宗教や思想信条の自由は著しく抑圧されている。一党独裁の下、徹底した情報管理と社会統制で感染症の抑制には成功しているかもしれないが、市民的自由は大幅に制限されている。同じ時期にウイグル人の居住地域や香港で甚だしい人権の抑圧が行われていることは注目すべきだ。

新しい冷戦時代といわれるが、対立するのが米国と中国に代表される二大勢力だとすれば、新自由主義的な経済重視の社会体制と全体主義的な社会統制の体制ということになる。どちらも現代世界の多くの人々が託すに足りる希望がない。これはかつて宗教勢力が自由主義陣営を支えた冷戦の時代と大きく異なっている。世界の大多数の人々の信頼を失った両陣営が武力を背景に対峙しているのだ。

現代の核軍事力は、このような希望の持てない支配体制と一体のものとなっている。「核抑止力」という虚構の安全保障理論は力による抑圧を正当化してきた。いのちの安全より経済成長を重視する政策で権力を拡大した側と、政治・言論・思想信条・良心の自由を抑圧しつつ格差増大の経済成長で権力を拡大した側の双方が、力による支配の信奉者で、その実質的裏付けとして核軍事力がある。

これが広島・長崎の原爆投下によって始まる、第2次世界大戦後の世界の政治が至り着いた21世紀前半の世界の光景だ。人類社会はこの行き詰まりをどのように超えるのか。2016年の国連の核兵器禁止条約採択、17年の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞は、人類社会の進むべき方向を示唆する。コロナ後の世界の観点でも、核兵器禁止と世界的な軍縮に向けた動きが極めて重要となる。パンデミックを抑えるには人間の安全保障の充実こそが必要で、それは核による力の支配とはまったく異なる方向を指し示しているからである。

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