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慰霊式は簡素化しても 歴史を振り返る8月に

2020年8月5日 10時43分

戦後世代に灰田勝彦の名はなじみが薄くても、「鈴懸の径」は少しは知られていよう。「友と語らん」の歌い出しで灰田が歌い、太平洋戦争中の1942年に発売されたが、元の曲名は「マロニエの径」だった。ドレミをイロハに、芸能人らの芸名も和風に改めさせるなど常軌を逸した英米の敵性語排斥が社会を覆い尽くす中、ハイカラな曲名は軍部ににらまれた。世の風潮を忖度し曲名を変えたそうである。

翌年は学徒動員の開始、44年には生還不能の特攻が始まり、出撃前夜の別れの宴で再び語り合うことのない若者たちがこの曲を歌ったという。読売新聞文化部著『愛唱歌ものがたり』で知った。

人は集団になると極端な方向に流されやすい。集団極性化というようだが、日本では非常時に異常な排外主義に陥った歴史がある。敵性語排斥もそれで、矛先は大衆文化・娯楽やスポーツなど広範な分野に及んだが、排斥機運は民間レベルで高じていったとされる。その苦い経験を記憶に留めたい。若者たちを特攻で死地に向かわせたのも、そんな時代の空気が背中を押したからではなかったか。

終戦から75年の8月。各地の戦没者慰霊式は新型コロナ禍で縮小されてしまったが、この機会に個々人が静かに歴史を顧みて、平和への祈りを内面的に深めるのも有益ではないか。戦争は地域や人々の人生、心に深い傷を刻みつけ、傷口は今も癒やされていない。象徴的な事例の一つに沖縄を挙げざるを得ないのは、国がその傷口に塩を擦り込むような対沖縄政策を続けているからだ。

60年のチリ津波で日本の死者・行方不明は警察庁調べで139人に上ったが、17歳の少女ら沖縄の死者3人が含まれていなかった。72年の日本復帰前とはいえ、その後も悲劇の沖縄戦や米軍基地が絡む不幸な出来事が連綿として続く沖縄の数奇な歴史に目を向ける本土住民は少ない。逆に基地集中の反対運動を「沖縄のエゴ」と一部の本土住民が声高に攻撃する。沖縄は本土の安全保障に貢献するためにのみ存在するというのか。その偏狭な精神性は先に述べた異常な排外主義と通じ合う。

本欄でも指摘してきたが、近年、社会に「役立つ」かどうかで人の価値を判断する空気が広がっている。役立たなければ排除するというファシズム的な思考との差は紙一重の感さえあるが、昨今、懸念するのは新型コロナ禍の再燃だ。日本は非常時に排外主義が高揚するといったが、その標的探しが始まらないだろうか。歴史を振り返る理由は、足元にある。

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