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ALS患者殺人事件 苦悩のケアこそ重要

2020年8月19日 11時17分

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼により医師2人が薬物を投与して殺害した容疑で逮捕された事件は、いわゆる「安楽死」でさえない。まず東海大病院事件の判例にある「死期が迫っている」「肉体的苦痛を除去する他の方法がない」などの要件を全く満たしていない。この要件が満たされれば免罪されるという誤解には要注意だが、医療関係者も嘱託殺人として摘発した京都府警も今回の事件は「安楽死」に該当しないとしている。

それどころか医師らはネットで「死にたい奴に死なせてやることはできるのだが、後がめんどくさい」と発信し、「扱いに困った高齢者を『枯らす』」などと公言するような優生思想の持ち主であり、犯行時に偽名で患者のヘルパーを騙して遠ざけ、高額の金を受け取るなどの手口からも信念など微塵も感じられない卑劣な殺人者だ。

ただ、患者側のツイッターの発言などから「安楽死」の論議が起きた。自らの殺害を依頼するほどの女性の苦悩は他者には真に理解はできないだろうが、仮に「安楽死」であっても、それと地続きの「尊厳死」と呼ばれるものであっても、問題は根深い。ナチスによる障がい者の安楽死政策を持ち出すまでもなく、他者が生を奪うことは命への最大の侵害だ。

また、たとえ本人の「要望」であっても、それを社会的に積極評価したり声高に叫んだりすることによって、この世間で生きづらい人々に生の短縮を促すような圧力になる危険性は以前から度々指摘されている。宗教者にとっては、自分のいのちなのだからそれを絶つことも自分で決める、という発想も肯定しにくいだろう。

この事件で何より重要なのは、このような結末に至らざるを得なかった患者自身の苦しみへの向き合いだ。ALS患者の団体も「私たちの生を否定しないで」とそれを訴えており、「生きていくことがつらい」ほどの絶望に当人たちを追い詰めないような周囲のケアと具体的支援、そして社会的仕組みとしての医療・福祉の充実こそが課題になる。

また、「尊厳死」問題でも持ち出される「周囲の人に迷惑をかけてまで生きたくない」という論議。これも、人間は他者の世話にならないでは生きていけないという観点から、本人への精神的な支え、心配りが大事になることは言うまでもない。宗教者も「いのちは何より重い」「生きているだけで価値がある」とコトバで語るだけではなく、揺らぐいのちを包み込むような社会の創造のために行いが求められる。

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