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墨跡つき仏像カレンダー2021
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墨跡つき仏像カレンダー2021

差別の象徴撤去 未来のため歴史見直し

2020年9月2日 10時17分

警察官による黒人男性殺害事件をきっかけとする米国の人種差別批判のうねりは、現在だけでなく過去の抑圧・差別の歴史を見直し、指弾する動きに広がっている。決して“後ろ向き”ではなく、歴史の教訓を未来を考える糧とするための姿勢として重要なことだ。

例えば、1860年代の南北戦争時代に黒人奴隷制度堅持を主張した南軍のロバート・E・リー将軍の像が各地で撤去されるなど反響は目に見える形で拡大。しかも軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が下院軍事委員会の公聴会で「フォートフッド」や「フォートブラッグ」など旧南軍将軍名を想起させる基地の名の見直しを求める考えを表明した。例によって「強いアメリカ」を叫ぶばかりのトランプ大統領は強硬に反対したが、該当する10基地に所属する陸軍兵士の20%が黒人であり、軍の分断につながりかねないことが議長の念頭にあった。

また黒人と先住民とを両脇に従える構図の第26代大統領セオドア・ルーズベルトの像も撤去された。先住民のイメージを冠したメジャーリーグチーム名も変更が取り沙汰されているという。これらは、決して「歴史を伝える文化的伝統」ではなく、また決して昔の話ではなく、現在にも差別を温存する効果をはらむという意味では、負の“遺産”でさえない。

翻って我が国ではどうか。日清日露戦争で「軍神」とされた広瀬武夫、また上海事変で突撃死した「肉弾三勇士」の像は、軍国の象徴として戦後間もなくに撤去解体された。だが、各地のある種の宗教施設には軍国日本を象徴する碑などはまだまだ多い。さすがにそのような過去のものを「文化遺産」と強弁する向きはなさそうだが「歴史的事実だから」と目をつぶるのは正しいのだろうか。

寺院でも墓石の差別戒名の問題は論議の末に長い年数を経た。曹洞宗は先頃、全国145カ寺にあった全ての差別戒名墓石の「三界萬霊供養塔」への移設を完了させたと発表し、宗門関係者は「これをスタートに再びこのようなことがないよう、教団として常に振り返っていくことが大切」とコメントした。しかし「過去帳問題」など差別につながる問題が完全になくなったとは言い難いだろう。

撤去して事が「なかったこと」にするだけでは解決にならない。それでは、過去の自らの汚点を単なる回顧対象として反省せず、現在の問題と切り離してしまうのと違いがない。目先の問題の議論ではなく、歴史の真実に向き合うのは、悠久の年月を背負う宗教の役目だ。

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