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修行の聖域 伝統的形態を護るためには

2020年9月16日 11時37分

日蓮宗の「荒行」は長い歴史を持つ厳しい修行である。千葉県市川市の大本山中山法華経寺に加行所が開設されたのは1949年だが、コロナ禍の影響で今年度は開設以来初めて、荒行が中止されることが決まった。

閉鎖空間のクラスター発生が懸念され、日蓮宗は行堂内の感染防止対策を検討していた。体調不良者が出た場合の対応など、医師の助言を求めるには行堂内での修行に関わる行動を説明しなければならない。だが、行堂内の修法の秘儀を他言することは清規で禁じられており、修行の伝統の護持と十善の感染防止対策というジレンマの中、苦しい決断だったようだ。

臨済宗では、参禅の時、修行僧が公案の見解を出し、師家との間で問答がある。この室内のやりとりは第三者には明かしてはならない。宗旨の根幹に関わる領域で、僧堂の修行を一般向けに紹介する書物でも、法の相承に関わる室内の秘密には当然立ち入らない。

日蓮宗ではこの核心の部分が「無漏相承」という言葉で示されているようだ。臨済禅の室内の秘密と同様、日蓮宗の修法の秘儀も宗門としては絶対に守るべき聖域で、新型コロナウイルス感染防止対策とはいえ、部外者の関与は許容されない、ということだろう。他方、400年の秘法相伝の伝統を持つ中山法華経寺塔頭遠壽院は、医師の意見を聞いて感染防止策を徹底した上で、今のところ荒行を開催する予定という。宗門主催の行堂との違いは、加行僧の数が十数人と少ない点。感染を避ける配慮も届きやすいと思われる。

ところで、遠壽院は戸田日晨伝師が「行堂改革」に取り組んでおり、門外不出の修法の秘儀を守ることを前提に、外部の識者の意見も取り入れている。加行僧には「感想文」を求め、改革の参考にしているが、「無漏相承」に触れる意見が複数あるのは興味深い。

問題のポイントは、「漏らすことなく相伝を受ける」のが「無漏相承」の本来の意味である、ということだ。しかし、これが曲解されてあしき隠蔽主義に陥り、本質から離れた悪弊まで伝統として相承される。それが修行の場での暴力など不適切な問題にもつながる、という事情が見えてくる。

ここには「荒行」だけではなく、禅宗などの修行にも共通する問題が含まれる。修行の場の聖域性は、社会的な相当性とも照らし合わせて判断される部分が徐々に拡大している。後から付加された不適切な慣行まで抱え込むことは、修行者を守る上でも、修行の伝統的制度そのものを維持していく上でも望ましくないだろう。

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