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原発事故からの復興 移民の伝統で村おこし

2020年9月30日 10時46分

東日本大震災から9年半が経過したが、現地では住民の被災、避難や転出による人口減少が回復しない所が多い。特に、東京電力福島第1原発の事故によって住民が故郷と将来の夢を奪われた福島県では過疎化が深刻だ。

その中で、地域を再活性化させようと外部からの移住受け入れによる村おこしに力を注いでいるのが、同県飯舘村だ。元々6千人あった人口は事故による全村強制避難で激減し、避難指示解除で村当局が帰還促進に努めたものの、戻ったのは2割程度。アンケートでは「条件が整えば帰りたい」が90%あったが、人口の減少で地域経済が回らず、それによって帰還が遅れるという悪循環も起きているようだ。そのため、村内に住居と農業や商売などの仕事を確保して転入を促進するプランを打ち出した。

地元の方言で「丁寧な」を意味する「『までいな』暮らしへの誘い」という呼び掛け冊子を各地に配布。村の審査によって、家を新築する場合は最大500万円、空き家購入は同200万円、賃借なら月額家賃の半額を補助し、最長1カ月間無料の「お試し住宅」も提供、新規就農や起業には最大240万円を補助するという手厚い策を紹介している。

既にこれに応じて移住、定着した人もかなりおり、県内から移って栄養士をする若い女性、地域に溶け込んで農業を続ける男性、そして遠くは米国移住から帰国して村の道の駅で働く女性や鹿児島県から来て園芸に励む男性もいる。

長く村役場で農政担当職員を務めた地元の真宗寺院住職は「元の村民でも避難先から戻れなくなってしまった方も多い。村外の方もどしどし呼び込み、あと5年は暮らしをつないでいくことに傾注しないと、村が廃れかねない」と危機感を募らせ、移住推進に力を入れてきた。

住職の寺をはじめ地元相馬地方の真宗門徒の多くは、今から200年以上前の天明の大飢饉で村が疲弊し人口が激減した際、復興のために越中富山地方から入植してきた「北陸門徒」の移民の子孫だ。彼らは固い信仰に支えられながら、荒地を開墾し、身を寄せ合うようにして村を興してきた。その大変な苦労の歴史の上に豊かな故郷があり、それが原発事故で破壊されたのだった。

だが「までい」には「心を込めて、頑張って」という意味もある。住職は「私たち移民の歴史をまた繰り返すと思えば大丈夫。次の次の世代に夢を残せば、村民の孫たちもきっと戻ってこられる」と顔を輝かせる。

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