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流行神は去る 目先優先の政治姿勢は危険

2020年10月23日 10時32分

「流行神」というものが改めて注目されている。事典などによると突発的、一時的に民衆に広く信仰・支持され、急速に忘れ去られる神や仏などである。歴史的には大化の改新の前に現れた「常世神」や10世紀の「志多羅神」、幕末の「ええじゃないか」も流行神現象とされ、社会変動や世情不安を背景に出現することが多い。

コロナ禍の今、流行神として取り沙汰されるのは「疫病退散」の利益があるという妖怪の「アマビエ」だ。長い髪に鳥のくちばしのような口、光るひし形の目、体はうろこに覆われ、3本の足で海から現れる。各地でそのほほ笑ましい図像のポスターが見られ、神社で配布もされる。インターネット上でも広く流布して厚生労働省のサイトにまで登場している。

このようなたわいのない流行ならば問題はないが、権力者が意図的に「はやり」をつくり出し、あるいは便乗し、自ら流行神たろうと演出をするのは危険で醜悪だ。戦前に軍国主義と結託して国民精神を戦争へ動員した国家神道を想起するまでもない。

現代にも流行神もどきの兆しが見える。例えば、世間では既に当たり前になっている「デジタル化」を、コロナの影響で確実に加速されつつある中、流行遅れになるな、とばかりに旗印に掲げる。デジタル化でどのように国民の福祉に利する施策を実施するか、という肝心の中身は一向に見えてこない。「縦割り行政解消」についても、同じことが言える。

外形だけの“トレンド”を売りにする目先優先の政治姿勢は強く警戒したい。米トランプ政権も、自国第一主義の専横的な態度、単純なフレーズのアピールによって突発的に高支持率を獲得したが、危うい政策で国内外の分断を広げていると批判されている。

アマビエは、実際にそれがウイルスを撃退してくれるかどうかはともかく、その不思議な姿を絵に写し、多くの人たちに見せることによって利益が表れると言い伝えられている。それはつまり、コミュニケーションを人々に奨励するメタファーだろう。疫病がはやっても決して患者を差別排除したり、いがみ合って社会を分断する行いをしたりしてはいけない、皆で話し合って協力しなさいという。

そういうことが実現した際にはアマビエは役目を終え、姿を消すだろう。それが流行神たるゆえんだ。利益どころか危なっかしさの目立つ流行神もどきも、すぐに役目を終え、急速に忘れ去られ消え去る運命にあるのだろうか。疫病退散の神ならぬ疫病神と紙一重であっては困る。

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