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中外日報宗教文化講座2021
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デジタル化の国策 IT化社会の宗教の位置は

2020年10月28日 11時01分

菅義偉総理は政府の最優先課題としてデジタル庁の設立を掲げている。隣国の中国や韓国と比較して、我が国のIT化の遅れはかねて指摘されてきたところで、経済産業省は2025年までに、キャッシュレス決済の比率を現在の約2倍の40%とする目標を設定していた。しかし、特別定額給付金ではマイナンバーカードを用いた申請手続きが停滞するなど、デジタル化後進国の実態をさらけ出した。国策としてのデジタル化は、違和感や批判も伴いながら強力に進められるだろう。

宗教界では3密を避け、ズームやユーチューブなどSNSを教化や研修、会議に利用することが急増した。新型コロナウイルスの感染が終息しても、対面が本質的に重要であるものを除き、デジタル化の流れは止まらないだろう。

ところで、宗教界でかねて話題になっていた問題に、布施のキャッシュレス化がある。一部寺社で実例はあったが、このほど、真宗大谷派は真宗本廟(東本願寺)などにQRコードで賽銭の電子決済ができるパネルの「賽銭箱」を設置し、プレスリリースした。QRコードを使い賽銭の決済をする人が現実にどれほどいるか、財施のキャッシュレス処理に動く宗派が続出するかどうかは分からない。しかし影響力ある大宗派の動向として注目される。

四半世紀近く前、浄土宗の宗務総長だった成田有恒氏が宗教学者・山折哲雄氏との対談で語った「戒名料」に関わる発言をきっかけに、戒名とは何か、布施とは何かを巡って大きな議論になった。イオンやアマゾンの葬儀参入でも、布施とは何かが社会的に問われた。キャッシュレス賽銭はマスメディアで注目されたが、宗教者が議論すべきテーマとして取り組んだのは京都仏教会だけだろう。しかし、布施をはじめとするデジタル化の進行は、それに伴う諸問題に触れず、ただ黙って受け入れていい問題であるとは思えない。

国策のデジタル化は宗教界にとって利便性や教化の可能性を秘める方向というだけではない。一方で、個人情報が「心地いい監視」下に置かれる社会で、自由、公共性とは何か、人間の幸福や尊厳とは何かといった宗教が関わってきた問いは深刻さを加えていくと考えられる。伝統的な宗教の存続基盤にもつながる社会の変化が進むはずだ。情報管理が高度に進んだ社会で宗教がどのような位置を占めることになるのか、どのような役割を果たし得るのか。社会科学者ら学者の議論に任せておかず、宗教者も自らの信仰、宗教的立場で検討してみてはどうだろうか。

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