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信徒目線の僧侶に 「お寺の和尚さん」の復権

2020年11月4日 11時04分

日本の仏教界は様々な宗派に分かれており、それぞれ独自な宗門用語がある。僧侶の呼称にも和尚、住職、方丈、上人、聖人などがあり、和尚と書いておしょうと言う以外に、天台宗ではかしょう、真言宗ではわじょうとも呼ぶ。宗門の中にいると案外気が付かないが、一般の人々にとってはこうした決まり事がなかなか難しい。

宗門独自の呼称ももちろん大切だが、広く人々に向けた教化伝道のことを考えれば、どの仏教にも通用する共通イメージに立ち戻ることがあってもよい。近年では仏教者という呼称も普及しているが、世間的にはまだまだ堅いイメージがある。お坊さんという言い方もあるが、寺院付きの僧侶の表現として「お寺の和尚さん」という言い方はどうだろうか。

多くの日本人は子供の頃に、童謡「山寺の和尚さん」を歌ったり、子供たちと手鞠を突いたりかくれんぼに興じたりした「良寛さん」の話を聞いたことがあるだろう。実際には「山寺の和尚さん」はわらべ歌ではなく、戦前に作られた初の和製ジャズの歌であり、歴史上の良寛禅師は生涯、寺院を構えることはなかった。しかし、重要なのは子供時代に育まれた和尚さんの原イメージの方だ。

近所の人がふらっとお寺に寄ってみれば、和尚さんが仏様の話だけではなく、茶飲み話の相手をしてくれたりもする。和尚さんはまた、そこそこ物知りである。それでいて、偉ぶったりせず、飄々と振る舞っている。そんな和尚さんに、人々も子供が親を慕うように接している。横町のご隠居さんの仏教版と言ってもよいかもしれない。「お寺の和尚さん」にはそういう原イメージがある。

こうした僧侶の姿は世間と仏との間をつなぐ存在である。潜在的ニーズも大きいはずだ。寺檀制度の下で、寺院はもともと地域コミュニティーへのケア機能を物心両面で果たしてきた。葬式の時にだけ寺を必要とする「葬式仏教」は、むしろ明治以降の産物である。地域の人々へのケアは寺院の役割であり、僧侶はその担い手だ。本紙の「キラリ-頑張る宗教者」の連載意図もまた、そうした現代の僧侶の姿を読者の参考に供するところにある。

「お寺の和尚さん」という原イメージは、信徒目線からの僧侶の一つの理想像である。宗教的ケアといった時、古くて懐かしいこのイメージがぴったりする。その時、和尚さんはしばしば高齢僧侶の姿を取っている。「お寺の和尚さん」の復権は、現代の高齢僧侶の身の処し方において大きな参考になるだろう。

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