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震災の遺構保存 弔いの心が何より重要

2020年11月18日 16時10分

東日本大震災から10年を前に震災の遺構整備が進み、被災地で施設が続々と完成している。中でも学校の遺構が各地で次々オープンし、見学者が相次いでいる。

宮城県山元町の「震災遺構中浜小学校」は、教室内部がめちゃくちゃになり、壁や天井まで崩落した状況が津波の凄まじい破壊力を物語る。恐ろしさを強調するだけでなく、震災前の周辺のジオラマや写真パネルなどで失われた地域の良さをアピールしており、地元に住んでいた元同小職員のスタッフによる案内説明は故郷への愛着に満ちている。

ポイントは、あの日に津波が押し寄せて鉄筋コンクリート2階建ての校舎を破壊した際の避難行動を非常にリアルに分かりやすく解説していることだ。当時の校長らの証言では、警報で津波の高さと到達時間を知り、とっさに外ではなく屋上へ避難する判断をした。厳寒の中、屋上倉庫で90人が身を寄せ合って励まし合い翌日の救助に備えた。

同じような学校遺構は、仙台市の「荒浜小学校」、同県気仙沼市の「向洋高校」などあちこちにできた。荒浜小では震災当日のドキュメンタリー映像や豊富な写真などで被災を解説し、壊滅してしまった地区の歴史や文化、学校での思い出などの展示も充実している。向洋高は津波で流され校舎3階の教室に突っ込んだ大木や自動車の残骸をそのまま保存して災害の脅威を訴えており、両校とも児童生徒の避難誘導の経過を教訓として示している。

これら校内で犠牲者が出なかった学校と対照的なのが、児童74人が亡くなった同県石巻市立大川小だ。無残に廃虚となった校舎を遺構保存することは決まっているが、まだ工事中。しかも展示内容について、犠牲になった児童の父母らは市側が遺族の意見を聞く姿勢を見せていないと指摘する。子供たちが津波警報から50分間も校庭に待機させられ逃げ遅れたという避難誘導の問題点を巡って訴訟にもなり、市の落ち度が明らかになったという経緯が背景にある。

全国から訪問が絶えないのに市は当初、工事がまだ外周にもかかわらず見学できないような処置をした。次女を失い現地で教訓の語り部活動をする父親は、行政の誠意のなさを嘆く。

大事なのはこの父親が「ここで亡くなった子らが『話して』と私に訴えている」という、死者への篤い思いだろう。遺族たちに寄り添い、現場に供養に通う僧侶は「遺構保存や伝承には弔いの心がこもっていなくてはならないはず」と強調する。

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