PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
墨跡つき仏像カレンダー2021
PR
墨跡つき仏像カレンダー2021

三つの市場論 中国宗教界の変動の力学

2020年12月2日 14時32分

中国には「赤色」「黒色」「灰色」の三つの「宗教市場」があるという。「宗教市場」は響きがいいとは言えない言葉だが――最近唱えられ始めた「宗教市場理論」を踏まえている――、楊鳳崗・パデュー大教授の説である(櫻井義秀編著『中国・台湾・香港の現代宗教』、明石書店、所収「中国における三つの宗教市場」)。

宗教市場理論は宗教の盛衰を経済学の市場理論に引き寄せて検討するもので、「宗教離れ」現象を世俗化論と異なる視点から解釈する。伝統宗教・制度的宗教が魅力ある「商品」を提供する柔軟性を失えば、需要を満たすものを提供できる新たな宗教が選択される。制度的宗教の衰えは宗教そのものの衰退ではない、というのが大ざっぱな見取り図だろう。

中国の3色の宗教市場に話を戻す。赤色市場は共産党が公認する仏教、キリスト教など5宗教、黒色市場は法輪功など禁止される宗教、灰色は文字通り法的地位が微妙なグレーゾーンの宗教を指す。楊教授によれば、中国では共産党の厳しい規制にもかかわらず宗教は撲滅されることなく、三つの宗教市場相互の力学の中でマクロな宗教変動を見せている、という。

政府・党の抑圧的規制がもたらしたのは宗教市場の複雑化だと楊教授は分析する。公開の活動を行う赤い市場は党の指導に従う。そのために人々の宗教に対する需要を満たすことができなくなれば、人々はリスクを冒して黒色市場に向かう。ただしこのリスクがあまりに大きい(弾圧が激しい)とき、灰色市場の活動が活発化する。

灰色市場の例としては、毛沢東崇拝や気功のような代替的スピリチュアリティが挙げられている。政府機関による寺院の再建支援も灰色市場の動きの一例として挙げているのは興味深い。「経済のために宗教で土台をつくる」という発想は日本でもありそうだが、それで宗教復興に拍車がかかった。

ただし灰色市場で勢力を拡大した法輪功が邪教とされ、気功団体の多くも非合法化されたことで、中国の3色市場は勢力図が変化した。楊教授は赤色市場人口が約1億、黒色市場は約2億と推定。残る10億も全てが無神論者というわけではなく、数億人が灰色市場に存在するだろうとみている。

規制すればするほど不安定に、御し難くなる灰色市場は新しい宗教の草刈り場になるというのが楊教授の指摘だ。

さて、この宗教市場理論が日本にどの程度当てはまるか。3色市場の分類はもちろんそのままでは使えないが、政教関係を別にすれば参照することもできそうだ。

阪神淡路27回忌 未来に語り継ぐ課題1月22日

1995年1月17日の阪神・淡路大震災から26年がたった。仏教では二十七回忌に当たる節目だが、今年はコロナ禍の下、特別の年回忌になった。 時の経過とともに記憶は自然と薄れ…

宗教縁の時代 キーワードはソロ社会1月20日

コロナ禍の中、よく言われるのが社会的距離という言葉である。しかし、その内容からすれば、物理的距離と呼んだ方がより正確な表現だ。人間が社会的存在である以上、個人と社会とは切…

見える構造的課題 社会参画型仏教の現況から1月15日

日本におけるエンゲイジドブッディズムの現況とその課題を論議するオンラインシンポジウムが先般行われた。仏教者による社会参画の多くの具体例から、日本社会で仏教の底力が求められ…

PR
檜皮葺きの作業風景。文化財建造物の寺社での修理が技術継承に貢献する

伝統技術継承に課題 ユネスコ登録の「建築工匠の技」

ニュース1月22日

ハラスメントで懲戒免職も 妙心寺派、防止規約協議

ニュース1月22日
御衣と共に御影堂へ還列する布施大阿(中央)

後七日御修法が結願 布施大阿、真言宗長者へ

ニュース1月21日
顔認証付き検温器「QHT」 PR
お知らせ
このエントリーをはてなブックマークに追加