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三つの市場論 中国宗教界の変動の力学

2020年12月2日 14時32分

中国には「赤色」「黒色」「灰色」の三つの「宗教市場」があるという。「宗教市場」は響きがいいとは言えない言葉だが――最近唱えられ始めた「宗教市場理論」を踏まえている――、楊鳳崗・パデュー大教授の説である(櫻井義秀編著『中国・台湾・香港の現代宗教』、明石書店、所収「中国における三つの宗教市場」)。

宗教市場理論は宗教の盛衰を経済学の市場理論に引き寄せて検討するもので、「宗教離れ」現象を世俗化論と異なる視点から解釈する。伝統宗教・制度的宗教が魅力ある「商品」を提供する柔軟性を失えば、需要を満たすものを提供できる新たな宗教が選択される。制度的宗教の衰えは宗教そのものの衰退ではない、というのが大ざっぱな見取り図だろう。

中国の3色の宗教市場に話を戻す。赤色市場は共産党が公認する仏教、キリスト教など5宗教、黒色市場は法輪功など禁止される宗教、灰色は文字通り法的地位が微妙なグレーゾーンの宗教を指す。楊教授によれば、中国では共産党の厳しい規制にもかかわらず宗教は撲滅されることなく、三つの宗教市場相互の力学の中でマクロな宗教変動を見せている、という。

政府・党の抑圧的規制がもたらしたのは宗教市場の複雑化だと楊教授は分析する。公開の活動を行う赤い市場は党の指導に従う。そのために人々の宗教に対する需要を満たすことができなくなれば、人々はリスクを冒して黒色市場に向かう。ただしこのリスクがあまりに大きい(弾圧が激しい)とき、灰色市場の活動が活発化する。

灰色市場の例としては、毛沢東崇拝や気功のような代替的スピリチュアリティが挙げられている。政府機関による寺院の再建支援も灰色市場の動きの一例として挙げているのは興味深い。「経済のために宗教で土台をつくる」という発想は日本でもありそうだが、それで宗教復興に拍車がかかった。

ただし灰色市場で勢力を拡大した法輪功が邪教とされ、気功団体の多くも非合法化されたことで、中国の3色市場は勢力図が変化した。楊教授は赤色市場人口が約1億、黒色市場は約2億と推定。残る10億も全てが無神論者というわけではなく、数億人が灰色市場に存在するだろうとみている。

規制すればするほど不安定に、御し難くなる灰色市場は新しい宗教の草刈り場になるというのが楊教授の指摘だ。

さて、この宗教市場理論が日本にどの程度当てはまるか。3色市場の分類はもちろんそのままでは使えないが、政教関係を別にすれば参照することもできそうだ。

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