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中外日報宗教文化講座2021
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共に生きる社会 いのちを弔い重み伝える

2020年12月4日 10時05分

コロナ禍の中で「いのちの学び」をテーマにオンラインのセミナーが開かれた。主題材は「安楽死・尊厳死」についてだったが、現代社会で揺れるいのちのありようを巡って論議は広がり、本質的に通底する多くの問題で宗教者にも役割があることが浮かび上がった。

生命倫理学者らがまず、重症のALSの女性患者の依頼で医師が嘱託殺人を犯した事件について論述。報道を受けてインターネットなどで「あんな状態になったら自分も死にたい」「人工呼吸器を付けるくらいなら尊厳死したい」などという、健常な者が現実の患者たちの置かれている状況への想像力もなく無責任に発信することについての問題点が指摘された。

そしてそこに共通する、役に立つ・立たないで人間のいのちを選別することの暴力性が見えてくる。戦前、ナチスが精神障害者らを抹殺した「安楽死政策」を持ち出すまでもなく、「障害者は不幸をつくる」と主張して19人を虐殺した「津久井やまゆり園事件」も同じことだ。ナチスに「貧しい人、病人、非生産的な人、いて当たり前だ……彼らを殺してよいとするならば、体が不自由になった人、老いて弱った時の私たちすべてを殺すことが許されるだろう」と抵抗したフォン・ガーレン司教の言葉が事件で再認識された。

歴史や特別な出来事だけではない。出生前診断やさらに前段の着床前診断で生まれるいのちを選別するケースは増加しているし、国民をいのちの不安に陥れるコロナ禍では、高齢患者が人工呼吸器などを若者に譲ることが“美談”扱いされたり、基礎疾患で「治療効果がより低い」と見なされた患者を選別するトリアージが現に欧州などで行われたりしている。

重要なポイントは個々の当事者、一人一人のいのちのリアルな物語の重みだ。セミナーでは、ALS女性患者が入浴を男性ヘルパーに介助されるなど尊厳を損なわれ、殺害され、社会からも悼まれないことで「三重に殺害された」との指摘があった。やまゆり園事件でも、被害を受けた入所者たちは長く施設に収容された人も多く、殺害され、そして弔いでも匿名の障害者として扱われることによっていわば存在を抹消された。

やまゆり園の地元では元職員の男性らが「共に生きる社会を考える会」を結成し、犠牲者の氏名を出して追悼碑を作ることを検討している。入所者と顔見知りだった地域の寺院の住職は、園の前で供養を続けている。住職の言うように、宗教者には一人一人を弔うことを通じて全てのいのちの重みを訴え続ける役割があるはずだ。

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