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言葉が軽視される時代 問われる宗教者の役割

2021年1月7日 10時18分

言葉がぞんざいに扱われ、事実などお構いなしにただ相手を言い負かし、自己の言い分を通すだけの道具に堕してしまう。不安と混乱に満ちた2020年は、そんな懸念を膨らませた年でもあった。

言葉が事実を伝え双方向の対話で人の絆を結ぶという本来の機能を失った社会は想像がつかない。だが、米大統領選で敗北が確定しても根拠なく「不正選挙」と言い募るトランプ氏に多くの賛同者がいることを思えば、それを取り越し苦労と言い切れない気がする。

トランプ氏は言葉を乱暴に操る代表格。同氏の嘘は国際社会の共通認識であると思うが、驚いたのは同氏の主張に共鳴する日本人が相当数存在し、東京で大統領選は不正だと訴えるデモまで行われたことだ。

「ガスライティング」という心理学の用語がある。誤った情報を執拗に提示し、相手に自分の認知機能がおかしいと思わせる、ある種のマインドコントロールである。サイコホラー的な「ガス燈」という演劇と映画に由来するが、米国の精神科医と心理学者らが著した『ドナルド・トランプの危険な兆候』は同氏がこの手法を応用し、人々が自分の信者になるように誘導していると批判している。

日本では安倍政権の国会での虚偽答弁が問題化したが、さらに「お答えは差し控える」という空疎な常とう句を菅政権が引き継ぎ、多用している。常態化した説明拒否は国民に無力感を抱かせる。それを考えると昨年の漢字に「密」が選ばれたのは暗示的だ。流行語大賞の「3密」は密教用語にも通じるが、「密」1字になると「こっそりと人目につかないようにするようすを表す」(講談社『日本語大辞典』)と字解される。意図せざる、奇妙な符合である。

米国でも日本でも、民主主義の危機が言葉の軽視という形で表れている。政治が語る言葉が意味を失えば、やがては社会全体に伝染し、事実はどうでもよくなってしまう。それがいわゆる「ポスト・トゥルースの時代」の具体的な姿なのか。移民等の標的を見つけ嘘でも断定的、感情的な口調で攻撃する「トランプ流」は、インターネットという閉鎖空間で仲間を増やす。特定の信仰を持たず、無党派層の多い日本は特にネットの影響を受けやすいとの指摘もある。

嘘がはびこり、言葉が軽んじられる時代に、普遍的で精妙な仏教の言葉と教説が重要さを増している。日本でトランプ氏への共鳴者が多いのは中国への強硬な言動も要因というが、対中関係の修復という日本固有の課題も併せ仏教界が担うべき役割はとても大きい。

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