PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
墨跡つき仏像カレンダー2021
PR
墨跡つき仏像カレンダー2021

人口減と地方の荒廃 欲望に支配された歪な社会

2021年2月5日 11時04分

「国連生態系回復の10年」が今年から始まった。昨年は2011年にスタートした「国連生物多様性の10年」の最終年だった。ともに広く知られているとは言い難いが、生物多様性は地球環境や生態系の保全・回復と不可分の関係にある。その観点に立つメッセージを軽視はできない。

近年、動物由来の感染症として鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱などが人々を脅かし、昨年から新型コロナウイルスが猛威を振るう。生物多様性の要請と感染症への恐怖が衝突しないか心配だが、心に留めておかねばならないのは感染症発生の要因は森林破壊などの開発行為で野生動物と人との接触の機会が増えたことによるとされることだ。あくまで人間の側に原因があり、グローバル化でどの国のウイルスも瞬く間に国境を越えパンデミックが起こる。ただ、日本は急激な人口減少という固有の事情が加わる。先日、ある全国紙の読者欄に載った栃木県のお年寄りの投書が示唆に富んでいた。

「(高齢化や人口減で)葬儀の際などに手助けできなくなった隣保班。崩壊した空き家や草ぼうぼうの空き地。耕作放棄地となった水田にはソーラーパネルが広がり、人家のそばなのにイノシシに荒らされ放題の畑もある。都会人にはピンとこないかもしれないが、地方衰退の影響は間もなく都会にも及ぶはずだ」(要約)。

投書は安倍晋三・前首相が少子高齢化を「国難」と位置付けながら国は一向に有効な対策を取らないことを批判するが、事実、今年の出生数は妊娠届で1899年の統計開始以来最少の70万人台に落ち込むと推測されている。

生態系の視点から見て人口急減が問題なのは、多くの野生生物が絶滅の危機にある中、人への警戒心で近づかなかったイノシシ、シカなど野生動物が分布域を広げ、過疎の進む山里に進出して人との接触機会が増え、農作物などにも被害をもたらすという、開発とは逆の現象が生じているからだ。野生動物は自然界のノミやダニなども運ぶと報告されている。

地方は若い労働力を都市に送り出すという犠牲を払い経済成長を支えてきた。その報いがこれだ。一方、人口が集中する大都市は「密」が常態化し、パンデミックのリスクに脅かされている。

総じて言うなら成長至上で「右肩上がり」を追求する人間のあくなき欲望が築いたいびつな社会が可視化されている。その姿は生きとし生けるもの一切の幸せを願う仏教の理想とは隔たりがある。

食品ロスを減らす 資源を大切にする生き方2月26日

世界の食料廃棄量は年間13億㌧と推計され、また人の消費のために生産された食料のおよそ3分の1が廃棄されているという。農林水産省によると、日本国内の食品ロス量は年間643万…

脱炭素社会 人間の驕りへの警鐘を2月24日

アメリカのバイデン政権が就任後初の仕事の一つとして気候変動に関するパリ協定への復帰を発表した。2015年に採択された同協定は地球温暖化の進行を抑制するため、温室効果ガスの…

東日本大震災10年 宗教者の支援の立場性とは2月19日

東日本大震災と原発事故発生から来月で10年になる。被災地では今なお苦難と悲嘆に苛まれる人々が多い。日本を揺るがせた空前の災厄に今後も向き合い続けるには、宗教者にいかなる立…

災害やコロナでの知見を教訓として生かすことを強調した鬼生田宗務総長

コロナ支援5億円超、予算など可決 曹洞宗宗議会

ニュース2月26日

蓮沼総長が退任表明 南禅寺派定期宗議会

ニュース2月26日

25教宗派法要を中止へ 天台宗伝教大師大遠忌

ニュース2月25日
お知らせ
このエントリーをはてなブックマークに追加