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中外日報宗教文化講座2021 第18回「涙骨賞」を募集

社会参画仏教と台湾 昭慧氏とジェンダー平等運動

2021年3月12日 10時53分

台湾の昭慧氏に第38回庭野平和賞が贈られることが、庭野平和財団から発表された。昭慧氏は台湾に人間仏教をもたらした印順氏の弟子である。人間仏教では先輩格に当たる證厳氏もまた、2007年に第24回庭野平和賞を受賞している。人間仏教は、広く人間世界のために貢献することが仏教の精神に適うという発想に立つ。ベトナムのティク・ナット・ハンは印順氏の著作を読んで、エンゲージド・ブッディズム(社会参画仏教)という言葉を生み出したともいわれる。

證厳氏が慈済会を組織して社会事業を展開してきたのに対して、昭慧氏はむしろ個人レベルで様々な社会活動に取り組んできた。動物保護運動、反カジノ運動、ジェンダー平等運動などは台湾社会で大きな成果を上げている。また同時に仏教の暗部も厳しく指摘し、仏教界の体質改善にも努めてきた。中でも注目すべきはジェンダー平等運動であろう。この運動は市民社会と仏教界双方に関わるものである。

昭慧氏は2001年、「八敬法は釈尊の言葉ではない」として八敬法廃止宣言を行った。八敬法とは、尼僧は男性僧侶に服従すべき旨を8項目にわたって説いた戒律である。同氏は、尼僧の地位を貶めるような戒律は不合理であり、ジェンダー平等に照らせば破棄してもよいと断じた。この宣言の際、八敬法を記した紙をその場で破り捨てるということまでやってのけたのである。

また12年には、女性同性愛者の公開仏前結婚式を自ら導師となって主宰した。こうした昭慧氏の運動は過激といえば過激であるが、インパクトのある行動に違いない。賛否両論が分かれたが、台湾社会は同氏の運動を受け入れるリベラルな先進性を持ち合わせていた。台湾の立法院(国会)は19年、同性間の婚姻を認める法律をアジアで初めて成立させた。これには、仏教界からの昭慧氏の働き掛けも少なからず影響を与えたと想像される。

台湾でジェンダー平等と言えば、天才デジタル担当大臣オードリー・タン(唐鳳)が有名だ。若くしてIT業界で成功を収めたタンは35歳で蔡英文政権に招かれ、台湾史上最年少・史上初のトランスジェンダーの閣僚となった。政治と市民社会との関係、またこれらに関わる宗教の社会参画の度合いからすると、日本は台湾から大きく水をあけられている感がある。昭慧氏の庭野平和賞受賞が、日本の宗教界・仏教界の社会参画の動きに対して大きな呼び水になることを期待したい。

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