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“想定外”で済むのか 福島原発事故の国の責任

2021年3月24日 13時37分

「緊急事態宣言はまだずっと発令中です。お忘れか?」。新型コロナウイルス感染拡大防止対策の話ではない。東日本大震災の際に東京電力福島第1原発の事故を受け、政府が原子力災害対策特別措置法に基づいて出した「原子力緊急事態宣言」のことだ。前記メッセージは、宣言は10年たった現在も解除されず多くの住民が故郷を追われたまま苦難にあることを忘れてほしくないという気持ちで福島県浪江町の住職が発信した。

かつて東京オリンピック誘致の際に、首相が「原発事故はアンダーコントロール」などと発言して被害者の反感を買ったが、空前の重大事故は収束どころかメルトダウンした炉心の処理は何十年かかるか見通しすらなく、冷却で出た大量の汚染水はたまるばかりで海洋投棄の政府方針に批判が集まっている。県内各地の除染による膨大な量の汚染土も最終処分のめどが立たない。何より多くの住民が今なお全国に避難を余儀なくされており、当の住職も何年間も寺を放置せざるを得なかった。

各地に移転させられた住民がそれぞれの地で国と東電を相手取り損害賠償を求めた集団訴訟で地裁や高裁の判決が続く。国の責任を巡る主な争点は、巨大津波を予見できたかどうか、東電に対して規制権限を行使すれば事故は避けられたかだ。控訴審で初めて国の責任を認定した昨年9月の仙台高裁判決は、国が「事故は回避不能だった」と具体的に立証しないことを理由に被告敗訴とし、3例目となる千葉訴訟の2月の東京高裁判決も国の規制権限行使の不作為を違法として賠償を命じた。

だが計30件の同種訴訟の半数は事故から10年が過ぎてもまだ一審で係争中。既に出た地裁・高裁判決では、全てで東電の賠償責任が原子力損害賠償法などに基づいて認定されたものの、国の責任については判断が個別に分かれた。1月の群馬訴訟東京高裁判決では、国に賠償を命じた前橋地裁判決を取り消し「巨大津波は予測することはできなかった」との理由で責任なしと判定した。

同高裁判決は「実際の津波規模は東電の試算を超えるもので事故は回避できなかった」と“想定外”の見解だ。だが、長年にわたって「安全」神話を喧伝し国策として原発を推進してきた国家の重大な責任が「知り得なかった」で単純に免じられるのか。全村が何年も避難を命じられた飯舘村で、村民の心の拠り所として避難せずに残った神社の宮司は「何でも想定外にされたらたまらない。事故は明らかに人災です」と指摘する。

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