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寄付の文化 支え合いの心が足りぬ日本

2021年4月14日 13時01分

少し前だが、文化庁の国語に関する世論調査で「情けは人のためならず」の正しい意味を知る人は5割に満たず、情けをかけると相手のためにならないと逆の意味にとる誤答とほぼ並んだ。10年後に行った同じ質問でもやはり横並びだった。さらに10年余がたった今、調査したらどうか。時代の風潮は、さほど改善は見られないという残念な結果を予感させる。

理由を2点に絞ると、一つは日本の精神風土に寄付の慣習・文化が根付いていないといわれること。もう一つは、過去2回の調査は若年層に誤答が多く、近年は特に若い世代で「自己責任」や「自助」の観念が強いこと、が挙げられる。

例えば寄付活動の促進を目指す「日本ファンドレイジング協会」の『寄付白書』2017年版によると、日本の個人寄付は7760億円で米国の40分の1。韓国の6740億円よりは多いが、名目GDPに占める割合だと韓国の4分の1ほどだ。それだけ日本は寄付をする人が少ないとみられる。また、日本の寄付にはふるさと納税も加えられており、困った人を助けるためなどの自発的な寄付は割り引いて考えねばならない。寄付した人の割合も若年層ほど低い。

英国の著名な慈善団体が調査・公表するボランティア活動などを含めた「世界寄付指数」でも、日本は144カ国中、最低に近いランク付けをされている。これには算定の仕方などに疑問が多いが、気になるデータではある。

こうした寄付への消極性を表す指標は、冒頭のことわざに誤解を生じやすい精神性を暗示する。だが、寄付は社会全体の思いやりや連帯感、社会的関心度を測るモノサシという側面があり、選挙の投票率にも関係すると指摘される。災害時に限らず、普段から利他の心を培っておきたいものである。

幸い、日本には長い「布施」の伝統がある。布施は葬儀などでの僧や寺への謝礼という印象が強いが、本来は仏道修行者が実践すべき見返りを求めない支え合いや相互扶助の営みを指すとされる。その理解に立てば、未来社会のキーワードともいう「共存・共生」の理念に合致する。仏教界に広がる国連の持続可能な開発目標(SDGs)に共鳴する取り組みは実践例の一つとみることができる。

日本は急激な高齢化と人口減で税収は停滞、社会保障費は増え、国家の財政破綻が懸念される。国難だが、国に総合的な人口政策を講じる気構えが乏しく、いずれ社会の安定を持続できなくなると予測する識者が多い。支え合いの心が死活的に大事なゆえんである。

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