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選ばれる宗教施設 「結縁」の心を忘れずに

2021年5月14日 13時34分

本紙既報(4月14日付)のように、アメリカではキリスト教会やシナゴーグ、モスクなど宗教施設に所属する人々(教会員)の割合は2020年には47%と半数を切った(米ギャラップ社調査)。1937年には73%、その後60年間も70%近くで推移していたが、今世紀に入って減少が続いた。また一方で、自分の「宗教的選択」を明らかにしない人が増えている。この傾向は、教会員割合の減少とも一部関連しているとみられる。たとえ宗教的選択を明らかにしても、正式な教会員にはならないという場合もあるだろう。

こうした変化が示すのは、神仏との関わりが特定の宗教、または宗教組織を通じてなされることに対し、そこから距離を置きたいという人々の姿である。特に宗教施設への所属意識の低下からは、無所属のまま信仰を育みたいという信者側の思いを読み取ることができる。同様な傾向は、日本ではもっと顕著に表れている。新宗教における教団離れ、伝統仏教における寺離れが、関係者の間で話題にならない時はないくらいだ。しかし、だからといって人々の宗教心、信仰心が希薄になったわけではない。

社会学者の上野千鶴子氏は“選択縁”という概念を提起した。従来の地縁、血縁、社縁に囚われず、人々が自ら主体的に選択する縁ということだ。上野氏はそうした選択縁として、女性同士が新たに紡ぎ出す女縁というものを挙げている。宗教的に言えば、縁とは神仏の計らいによるもので、人間の側の主体的選択とは相矛盾するものであるが、この二つを上野氏はあえて結び付けたわけである。

もちろん縁においては、選択する側に神仏がいて、選択される側に人間や人為的存在があるというのが原則だ。宗教や宗教施設もある意味、人為的な存在であり、その意味では人間の側の主体的選択の対象になり得る。僧侶や教会長といった宗教者もまた、選択される側に置かれる。自分たちもまた選択縁の対象なのだと、我が身を振り返る反省的視点が宗教者の側に必要であろう。

宗教の「衰退」には、確かに少子高齢化や地方の過疎化などの客観的要因があり、これらに対する対応も欠かせない。しかし、宗教者がどこまでも信者のことを親身に思いやり、人々に寄り添う気持ちを忘れない限り、宗教施設にもおのずと人々は繋がってくるはずだ。そのためには、宗教者がどこまでも神仏と人々を繋げる自らの役割を自覚することが求められる。それこそ結縁の心だと言うべきではないだろうか。

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