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経済最優先主義の闇 現代にこそ語るべき真実

2021年5月21日 11時21分

近代、国民国家が形成された後、国家の安全と繁栄を保障するためには領土が必要だと考えられ、先進国の間で植民地争奪と軍備拡張の競争がなされ、ついには2度の世界大戦に至り、死者は約1億人に及んだ。傷者はその数倍になるだろう。それでも軍備拡張は終わらず東西2陣営の核兵器開発競争に発展し、その後も支配地域を巡る紛争は絶え間がない。

さすがに武力が国の繁栄をもたらすとは限らないことが、例外はあるが、国際的通念となりつつあるように見える。他方、現代を特徴付けるのは経済成長競争で、それは自由競争が世界化したこともあって、一層激しさを増しているように思われる。しかし、経済成長もまた必ずしも人類社会のためにならないことが見えてきた。

それは実体経済をバイパスした金融資本の肥大化、富の偏在と経済的格差増大、自然環境の汚染と生物の大量絶滅、さらに危険なほどの地球温暖化をもたらした。通信の発達は詐欺をはびこらせ、巨大都市と交通網が感染症蔓延の温床になることも明らかになった。

何より経済偏重はどれだけ人心の荒廃を招いていることか。問題は資本主義だけではなく、世界的な経済最優先主義にある。古来、世界の終末が幾度も予言されたが、それはありそうもないと考えられ、実際終末は到来しなかった。しかし現在では、もしかすると人類の終末は本当に来るかもしれないと感じられ始めたようだ。

社会の安全と繁栄は単一あるいは突出した原因によるのだろうか。仏教は因縁の理を説いてきた。出来事は直接的原因(因)と間接的原因(縁)の全てが揃って起こる。つまり単一の原因はないということだ。これは現代にこそ必要で、十分通用する理論である。キリスト教は愛を説いてきた。教会主義的になったキリスト教では、異教徒が愛の対象から外されたことがあるが、本来は無差別また無償の愛だ。これらの教えは近代文明の批判にもなる。

しかし一般社会がこれらの教えを重視したとは言い難い。要するに無視されたのは、宗教の影響力が低下したからだろう。宗教はその根本にある真実、現代にこそ語られなければならない真実を、相変わらず伝統的な言葉、現代人には納得も理解もし難い言葉で語っている。真実は不変だといっても、伝統的な表現を超えて、真実そのものを説得力のある言葉で現代的に語り直すべきである。

それは不可能ではないはずだ。宗教には現代に通用する内容が十分にある。宗教は本気で教説の自己革新を行うべきではないか。

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