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「宗教利用」の問題 健全な政教関係を護る

2021年5月28日 11時56分

アメリカ国務省の「国際宗教の自由報告書」(2020年)がこのほど発表された。ブリンケン国務長官はプレスリリースで、中国が「宗教的表現を広く犯罪化している」と強い表現で批判した。

報告書が挙げるウイグル・イスラム教徒などの人権問題はブリンケン氏のいう「人道に対する罪」とする批判が該当する。しかし、中国の宗教政策そのものは自国の憲法や宗教関係の法律を根拠としており、アメリカ基準の「宗教の自由」による批判は国家の価値の違いという面もある。己の政教分離制度を正義とする、他の宗教制度批判の効果は限られている。

とはいえ、宗教独自の価値を国家・共産党の価値に従属させ、宗教を政治支配の道具とする中国の政教関係は、現代日本の宗教者の多くにとっては擁護し難いものだろう。中国の愛国宗教(宗教の中国化)を参照しつつ、総力戦体制下、我が国の宗教が戦争協力に至った道を振り返ると、健全な政教関係を護る大切さと難しさが見えてくる。

近代宗教史上、明治の末年(1912)の「三教会同」は日本における政教関係の重要な里程標となった。明治憲法は第28条に「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス」と規定し、限定的な信教の自由を認めた。また、神社非宗教論のもと日本に国教制度はなく、原則的に政教分離と説明されていた。ただ、現実には文部省訓令第12号(「一般ノ教育ヲシテ宗教ノ外ニ特立セシムル」)によって宗教教育を排除する一方で、教育勅語に基づいて国家神道の教育が行われた。

この流れに新たな方向を示したのが大逆事件直後の三教会同だ。内務次官の床次竹二郎が仏教、教派神道、キリスト教に呼び掛けて開催し、「三教」の代表が「皇運ヲ翼賛シ国民道徳ノ振興ヲ図」ることを決議した。これは仏教界で賛否(キリスト教と同格で席に着くことへの抵抗感とともに、上知令で没収された寺有地返還の期待もあった)が分かれ、『万朝報』をはじめ新聞、雑誌は「宗教利用」「政教分離違反」と批判し、衆議院でも従来の政教分離の文脈に沿って、その是非が議論された。

当時はまだ、政治の宗教利用を批判する言論、利用を是としない宗教者の見識も存在したが、やがて雲散霧消する。国家と宗教の健全な関係は、国や社会の健康を占う指標の一つだ。憲法改正論議をはじめ、今後我が国の政教分離制度を議論する機会がやって来るだろうが、健全な政教関係を見失わないように常に警戒したい。

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