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拝金と排金 「金満社会」の倫理が必要

2021年6月2日 15時05分

「お金と灰皿はたまればたまるほど汚くなる」というが、人の欲望は限りなく、お金への執着心は制御が難しい。下世話にも「水は低きに、金は高きに流れる」とシニカルな語りがあるように、富める者はますます富を増やす。その傾向が最近特に著しく、コロナ禍に乗じ巨万の財をさらに増大させた人が少なくない。東京五輪もマネーファーストのイベントであることを露呈してしまった。

コロナが貧富の格差を絶望的に広げる中、細るばかりの「知足」の慎みが改めて問われている。

コロナ禍での富の膨張の大きな要因は世界的な株高だ。日本は上位50人の富豪が昨春から1年で資産を5割近く増やし総額27兆円になったと報じられた。コロナ対策の金融緩和でだぶつくマネーが株式市場に流入したらしい。

第2次安倍政権以降、公的年金に加え日銀も株式市場に参入し、株価を操作する日本独自の官製相場も株高を支える。今は日銀が日本株の最大の買い手でその総額は2月に約50兆円。多くの主要企業の実質的な大株主という。もとより株高の最大の受益者は富裕層だが、株式投資する国民は多い。

「金満」の世は金もうけの成功者は称賛されるが、学問や知識、倫理・道徳や誠実さ、信仰心の篤さなどお金で測れない価値が軽んじられる。新自由主義的な思考が人々に受け入れられ、どぎつく金もうけをすることに抵抗感がなくなったと指摘する識者もいる。

一方、コロナ禍は非正規雇用依存で在宅勤務も不可能なコンビニや飲食店、観光などサービス産業で多くの雇い止めが発生し、失業者を増大させてきた。母子家庭の貧困化で子どもの体重が減ったという心が痛む報道もあった。富の偏在は人々を分断する。

東京五輪の強行は命と健康を二の次にする乱暴さだが、社会に蔓延する弱者しわ寄せの拝金主義をも助長しかねない。国際オリンピック委員会(IOC)は猛暑の中の開催を決め、「密」を減らす開会式の時間短縮も拒んだ。全て巨額な放映権料を出した米テレビ局の意を受けたとされる。金への執着とビジネス優先が露骨であり、「平和の祭典」の精神が泣く。

心理学では、お金がたまるほど一人でいても満ち足り、利己的になりやすいという副作用があるとされる。初期仏教は仕事に精励した蓄財と施与を勧めたが、現下の金が金を呼ぶような社会は想像もつかなかっただろう。携帯やメールで心のつながりを結びにくい時代に「金の魔力」は一層強まりそうだ。新たな倫理の創出が迫られている。

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