PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報宗教文化講座2021
PR
中外日報宗教文化講座2021

宗教施設の存続問題 法人解散も念頭に

2021年6月4日 11時11分

日本では、伝統仏教の寺院の大半は世襲制である。新宗教の教会や布教所にも世襲化された所が多い。そこでは、宗教施設を支えるのは寺院家族、教会家族である。家族が弱体化しているのは、日本社会の全体的な傾向であるが、宗教者の家族も例外ではない。その結果、高齢の住職や教会長で何とか維持している宗教施設も増加した。

いわゆるアウトリーチ的な社会活動ができるのは、檀信徒が一定数あって経済的基盤が確立し、副住職や教会後継者が自由に動ける宗教施設である。そういう寺院や教会では、様々な活動の選択肢が可能だろう。しかし、そのような諸条件が整わない場合、住職や教会長の高齢化とともに、自坊や自教会の維持存続そのものが問われることにもなってしまう。

当然そうはならないように、これらの宗教施設を抱える宗門や教団は、可能な限り手を打ってきた。だが、ついに住職不在となった寺院がある。これを兼務寺院として引き受け、新たな担い手が現れるのを待つというのは最後の手だ。とはいえ、地域社会ごと消滅するような限界集落にあっては、そうした延命策も不可能である。

万策尽きて、維持存続がもはや困難となった場合、宗教法人の解散、または吸収合併ということにもなろう。宗門や教団関係者はあまり語りたがらないが、現実にこうした手続きを行っている所は数多い。これは寺院や教会などが、家族運営で担われ、代々世襲されてきたことが背景にある。檀信徒の側も、生活の近代化や都市化の流れの中で冠婚葬祭の私事化、脱宗教化が進み、寺院や教会との付き合いが負担になっている。

寺院や神社のように、地域に根差してきた宗教施設が消滅するのは、由来や歴史があるだけに伝統文化の断絶につながり、社会全体にとっても痛手は大きい。しかし、この世は無常であり、確実なものは何もないと説いてきたのが仏教である。身をもってその教えを示していくことも、一つの処し方ではないだろうか。先師の法灯を失うのは抵抗があるが、仏縁さえあれば再興された例もある。

世の中は変化していく。宗教が人々にとって必要不可欠なものである以上、再び形を変えて寺院や教会は再生するはずだ。また、人間が生きている限り、家族は多様化しながらも、決して無くなることはない。いつか血縁や世襲制だけにとらわれない、新たな家族による寺院や教会も現れるかもしれない。そのことを信じ、安んじて受け止める姿勢があってもよいのではないか。

コロナで相談急増 自死念慮者支える現場6月11日

和歌山県で自死念慮者の相談を受け、保護する取り組み「いのちの電話」を長年続ける白浜バプテスト基督教会の藤藪庸一牧師から、コロナ禍の影響で相談が倍増しているとの知らせが来た…

時の記念日 時間を尊び、守り、活かせ6月9日

6月10日は「時の記念日」である。国民の祝日ではないが、日本の記念日として大正9(1920)年に制定されてから今年で101年になる。天智天皇10(671)年の4月25日に…

拝金と排金 「金満社会」の倫理が必要6月2日

「お金と灰皿はたまればたまるほど汚くなる」というが、人の欲望は限りなく、お金への執着心は制御が難しい。下世話にも「水は低きに、金は高きに流れる」とシニカルな語りがあるよう…

可睡斎斎主に采川氏 24日に退董式と入寺式

ニュース6月11日
北野天満宮の楼門に滑車を使って茅の輪を取り付ける神職ら

例年より早く茅の輪を設置 北野天満宮

ニュース6月11日

次期執行長に今川氏当選 初の公選高投票率、安藤氏・岡部氏破る 高野山真言宗

ニュース6月11日
お知らせ
このエントリーをはてなブックマークに追加