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老いる障がい者 支える人への支援とは

2021年6月18日 10時49分

『私たちはふつうに老いることができない 高齢化する障害者家族』(大月書店)という書籍が注目を集めている。「安楽死」問題など優生思想・生命倫理についての著作が多いフリーライターである児玉真美さんが、自ら重度重複障がい者である長女を育て介護している経験を、また同様の立場にある多くの母親らにインタビューした内容をまとめたもの。障がい者と家族を取り巻く問題点だけでなく、困難な状況にある人に寄り添う人への支えということを広く捉えた示唆に満ちている。

福祉の貧困によって心身をすり減らす介護を強いられ続ける家族らの間では「自分が死んだら、子どもは…」が大きな悩みだが、インタビューではほとんどの母親が「親亡き後」について「考えられない」と答える。その背景に、行政には「相談窓口」があるだけで、施策としては介護する家族を“一時しのぎ”で助けるショートステイや現実には家族依存の面が多いグループホームくらいしかないという薄ら寒い実態があることを同書は具体的に明らかにする。

その背後には「生んだ親の責任」という社会通念があり、役所窓口でも実際にその趣旨を告げられるという。そんな状況を放置したまま、「自分亡き後」を心配する親には「子離れができていない」と矛盾した非難が投げ付けられる。しかし、意思表示も身動きもままならない重症児を幼時から育て、30代を過ぎても介護し続ける母親は我が子と“一体化”せざるを得ない環境に置かれていると著者は指摘する。「助けて」と言う余裕もなく、許されもしないと。

「親亡き後」対策が論じられはしても、そこには養育・介護をして福祉の穴を埋めるための単なる「機能」と親を見なす視線がある。親は突然に死んで介護機能が消失するわけではなく、生身の人間として普通に老いてへとへとになりながら我が子に寄り添う年月があるにもかかわらずだ。著者は、親と子それぞれの関係性、生と死という人生についての悩みもケアする必要があると訴える。

政府は、公助をおろそかにしながら自助をしきりに主張する。世間も、「頑張っているお母さん」を“美談”に封じ込め、あるいは自らは直接関わらない安穏な場所から「障がいのある子は天使、仏さんだ」などと評論的説教をするだけでこのような問題点を理解しないならば、「生んだ責任」論とあまり変わらないだろう。児玉さんは、悲鳴を上げる親たち一人一人に「なぜそんなに苦しいの?」と個別に耳を傾けるところから始めてほしいと願っている。

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